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2016 年度 実施状況報告書

災害発生時における不特定多数の安否確認手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 16K12842
研究機関鈴鹿工業高等専門学校

研究代表者

田添 丈博  鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70259886)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード安否確認 / 不特定多数 / すれ違い通信 / Bluetooth Low Energy / iOSアプリケーション
研究実績の概要

本研究は,地震,噴火等の災害時における,公共の場等での不特定多数に対する安否確認の手法を,ICTを利用して確立することを目的とする.災害時に避難所等に集まった人々から「誰が安全であるか」は把握できるが,「そもそも誰が災害直前にそこにいたのか」を正確に把握することは困難である.安否確認を分数に例えるなら,分子はわかるが分母がわからない状態といえる.その誰がいたのか(分母)を明らかにすることを本研究では目指す.各人が何らかのICT端末を所持していることを前提に,平常時に誰と誰がすれ違ったかを各端末に蓄えておき,災害時にそれらを基に誰がいたのかのリストを作成するアイディアを起点とする.シミュレーション,小・中・大規模な実証実験を段階的に進め,改善サイクルを回し,安否確認手法として確立する.
実証実験を行うために,すれ違い通信による情報交換・ログ蓄積と,時間帯設定によるリスト作成のアプリケーションを開発した.すれ違い通信はBLE(Bluetooth Low Energy)で実装することとしているが,この技術はiOS端末で対応しているため,iOSアプリケーションとして実装した.実装した機能には,・初期設定(端末にIDを登録)・すれ違い通信による情報交換とログ蓄積・時間帯設定によるリスト作成・リストを用いた,手動での点呼チェック,がある.iOS端末3台で24時間の動作検証をした結果,実際のすれ違いに呼応するようにログが蓄積され,時間帯設定で点呼リストが作成できることを確認した.今後の課題は,アプリケーションがフォアグラウンドでは問題なく動作するが,バックグラウンドでは受信ができても送信ができないことがわかったため,将来的にはアルゴリズムまたはモデルの見直しを迫られている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

<アプリケーションの開発>
おおむね順調に進展している.iOSアプリケーションを実装し,基本的な動作検証をした結果,ほぼ想定通りの動作を確認できた.バックグラウンドで送信ができないという問題点が明らかになり,これは現在普及しているスマートフォンで日常的に動作させようとすると問題となるため,実験の規模を大きくしていくと並行して,アルゴリズム等の見直しで解決しようとしている.平成29年度は小規模(40人程度)の実証実験を行う予定であり,そのためのiOS端末50台を購入して,セットアップ等の準備を進めている.
<コンピュータシミュレーションの実施>
やや遅れている.本研究の最大の課題と予想している,作成された点呼リストと実際に周りにいた人々との差をいかに小さくするか,すなわち,すれ違い通信の感度と点呼リスト作成時に設定する時間帯の適正なパラメータを求めることをコンピュータシミュレーションする.実証実験の前に,シミュレーションであらかじめ繰り返しデータを取り,検証し,適正なパラメータを絞っておくことを目的とする.各端末を自律ロボットに見立て,ROS(Robot Operating System)上でシミュレーションを実行しようとしているが,現在はROS環境が構築できた段階である.小規模の実証実験の前に,同じ規模でのシミュレーションを済ませて,パラメータを絞っておくことを目標としている.

今後の研究の推進方策

<小規模(40人程度)の実証実験>
実際に人に協力してもらう実証実験を,人数を段階的に増やしながら行っていき,その都度,検証・考察することによって,アルゴリズムやアプリケーションに改善をフィードバックしていく.自身の所属する学校の1クラスの学生(40人程度)に協力してもらう.ICT端末は,後の中規模・大規模の実証実験でも用いることとして,動作環境を統一したものを準備し,学生に貸し出す.学生に常に携帯してもらい,学校での生活の中でログを蓄積する.点呼リスト作成と検証は避難訓練という形で行い,①授業中などの全員が揃っている状態と,②放課後などの教室に残っている学生がまばらな状態で実験を行う.本手法のねらいから,学生がまばらな状態で正確に点呼リストが作成できるかどうかに主眼が置かれる.
<中規模(400人程度)の実証実験>
小規模の実証実験で得られた知見で改善を施してから,中規模の実証実験へ進んでいく.自身の所属する学校の学生寮(400人程度)に協力してもらう.ICT端末をさすがに人数分準備することは難しいので,学生が所持している端末に頼ることになるが,所持していない学生に貸し出すこととする.学生には普段の生活においてなるべく端末を携帯してもらうこととし,主に寮生活でのログを蓄積する.点呼リスト作成と検証は,普段の点呼(20時30分,22時30分,7時30分)に組み込むこととし,①平日の点呼(全員が揃っている状態)と,②休日の点呼(帰省している学生がいてまばらな状態)で実験を行う.現在までの動作検証で明らかとなった,バックグラウンドで送信ができないという問題点を,中規模の実証実験までに解決せねばならない.寮という建物が利用できる状況であるので,各階の主要な場所にICT端末を送信専用として設置し,そこを通る学生の端末が受信したトリガでフォアグランドで送信するアイディアを考えている.

次年度使用額が生じた理由

平成29年度に予定している小規模の実証実験のために,iOS端末50台を購入したら,物品費をわずかにオーバーしてしまい,旅費を一部回すことにしました.残った旅費が次年度使用額となります.

次年度使用額の使用計画

小規模,中規模と実証実験を進める予定で,その実験結果がまとまりましたら,研究会等で発表し,情報交換を行っていく予定です.そのための旅費に考えています.

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公開日: 2018-01-16  

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