火山災害の誘因となる噴火の規模を,発災対応や噴火推移予測のためには即時評価することが求められている.一方,噴煙高度は噴出率(量)の関数で噴火の規模を表す指標の一つであるが,悪天候時には測定不能である.国内の活火山では必ず地震と空気振動の観測が行われており,天候に無関係に観測可能である.そこで,2014年と2015年の口永良部島噴火を対象に,噴火に伴う地震動と空気振動から噴出量と噴出率を導くための基礎的パラメータであるエネルギーと振動継続時間の算出を行った.また,噴火に伴う地震の力推定から,代表的な火山噴火と同程度の規模であったことを明らかにした.そして力から噴出量を算出して噴煙高度との比較行い,地震波動から噴出量を評価する手法の妥当性を評価した. 最近発生した水蒸気爆発(2010年霧島山,2014年口永良部島,2014年御嶽山,2015年阿蘇山,2018年草津白根山)時の地震記録と傾斜記録を比較し,草津白根山・御嶽山・口永良部島では,噴火の数分前から火山性微動が明瞭となり,加速度的に傾斜変化が進行したあと,噴火と同時もしくは直前に傾斜変化の極性が反転するという共通の特徴が見られることが明らかになった. 2017年8月に京都大学が設置した気象レーダーにて桜島と霧島山新燃岳の噴火の噴煙に対応したレーダー反射エコーの検出に成功した.2017年11月13日の桜島南岳噴火は山頂付近が雲に覆われており,公式には噴煙高度不明とされたが,気象レーダーにより雲より上への噴煙上昇に対応するレーダー反射エコーの変化が検出され,噴煙高度は4km程度であったと推定できた.また,2017年10月と2018年3月の新燃岳噴火について噴煙のレーダー反射エコーと目視による噴煙高度測定値との対比により,レーダーを用いた噴煙高度測定手法の確立のための基礎データを蓄積することができた.
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