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2016 年度 実施状況報告書

火山ガス分布計測のための飛翔体搭載ライダーの実現

研究課題

研究課題/領域番号 16K12850
研究機関首都大学東京

研究代表者

柴田 泰邦  首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (10305419)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードライダー / SO2 / DIAL / 火山ガス / 濃度分布 / 計測
研究実績の概要

SO2濃度を遠隔計測する手法として差分吸収ライダー(DIAL:Differential Absorption Lidar)が提案されている。本研究では、可搬性に富む小型のSO2-DIALシステムを新たに開発するため、光源にはLD励起のDPSS(Diode Pumped Solid State)レーザ593 nmの第2高調波を用いることを提案した。
SO2の吸収スペクトルは紫外域の240~320nm帯に櫛状に分布している。294nm以下の波長帯域では対流圏オゾンによる吸収が大きく影響する。また、298nm以上の波長帯域では成層圏オゾンによる太陽光吸収効果が弱く、昼間の観測に向かない。そこで、294~298nmの波長範囲で最適な波長を求めた。シミュレーション条件は、SO2濃度をDIALからの距離400~600mで呼吸困難となる30ppm、それ以外の地点で0.07ppmとした。またオゾン濃度を地表付近の平均値である0.005ppm一定とし、レーザ出力は0.5mJ、積算回数600,000回、距離分解能20m、望遠鏡口径15cmとした。この結果λon=297.6nm、λoff=297.4nmの組み合わせで、高濃度区間の400~600mで測定誤差が10%以内となることが分かった。
以上の結果をもとに、備品費で購入したDPSSレーザの特性評価と第2高調波発生機構の製作を行った。DPSSレーザの発振波長は593.76nm、第2高調波で296.88nmと上記のシミュレーション結果から0.5nm程度ずれていた。また、波長安定度は20pm/hでSO2濃度計測には不十分であることも分かった。消耗品費で購入した第2高調波発生用のBBO結晶を用いて296.88nmの発生を確認したが、波長変換効率が15%程度と低いため、改善の余地がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、1:可搬型SO2-DIALに要求されるレーザ波長の選定、2:レーザの購入、3:第2高調波の取得、が主な課題である。各項目は、実績概要で述べた通り概ね当初計画通りの成果を得ている。
一方で、波長安定度の向上、第高調波への変換効率の向上といった新たな課題が発生した。
また、申請段階では波長の異なる2台のレーザを購入する予定であったが、予算の都合上、1台のみの購入となる。そこで、レーザ波長を振る機構を新たに開発し、1台のレーザで2波長を交互に発振させる必要性が生じた。

今後の研究の推進方策

まず、波長不安程度の原因調査を行い、対策を講じる。現段階で想定している原因は、レーザ電流調整機構の不具合、レーザ装置そのものの温度安定度があげられる。
次に、第2高調波発生効率の向上は、レンズで集光するだけの現在の構成から、リング共振器型に変更することで実現させる。
また、実際に発振296.88nm付近でのSO2測定精度および最適波長の再検討を行う。さらに、λonとλoffを切り替える機構の開発を行う。これは、レーザ電流調整機構を外部制御できるように改造することで対応する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 火山ガス分布計測用の可搬型差分吸収ライダーに関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      加藤美優、柴田泰邦
    • 学会等名
      第42回リモートセンシングシンポジウム
    • 発表場所
      千葉大学工学部松韻会館(千葉県千葉市)
    • 年月日
      2017-03-08
  • [学会発表] 火山ガス分布計測のための可搬型ライダーの開発2017

    • 著者名/発表者名
      柴田泰邦、加藤美優
    • 学会等名
      レーザー学会学術講演会 第37回年次大会
    • 発表場所
      徳島大学常三島キャンパス(徳島県徳島市)
    • 年月日
      2017-01-08

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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