近年頻発する、激甚化した暴風雪で発生する吹きだまりを監視し雪国の防災力を飛躍的に高めるために、吹雪時における吹きだまり量をリアルタイムで計測するとともに遠隔地からモニタリングする技術を開発する。またそれに基づく吹きだまりリアルタイム評価システムを作成し、自治体の防災担当者に公開する実証実験を通して、暴風雪対応など防災対策に資する実用的なモニタリング手段を確立する。さらに吹きだまりリアルタイムモニタリングを多点同時に実施し、吹きだまり堆積速度と地形との関連や、風速など気象要素の影響を高時間分解能で面的に評価するとともに、吹きだまりの数値モデルのパラメータ同定にも応用し、吹きだまり予測手法の高度化にも資する実測データを提供する。 リアルタイムカメラを用いた、吹雪の発生状況やその程度、吹きだまり形成のモニタリングを継続的に実施した。カメラは電池を用いた独立電源型であり、商用電源は不要であることから、設置場所の自由度が高くなる。観測では、北海道東部の中標津町およびその周辺地域を対象とし、計8台のカメラを、吹雪、吹きだまり発生頻度が高い地域(道道の路肩付近)に導入し、30分~1時間毎にリアルタイム撮影、更新した。なおこれらのカメラは通信モジュールを内蔵するタイプであり、遠隔地からのモニタリングが可能となる.取得された画像データは専用サーバーに保存されるほか、最新時刻の画像については国土地理院の地理院地図上に表示するなど、地理情報と統合化されたモニタリングシステムとして活用を進めた。モニタリング画像については、現地の防災担当者に公開するとともに、暴風雪対応について有益な情報提供が可能となるよう、データ提示手法等を検討した。
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