研究課題
独自の細胞収縮力アッセイ(分析)技術を開発して、ドラッグ・リポジショニングへの利用展開ができる新しいシステムへと発展させることが目的である。将来的には細胞が発生する力の変化に応じてスクリーニング・分類を行うメカノミクス(力(メカ)のオミックス)研究へと発展させる。具体的には、化合物ライブラリーやsiRNAライブラリーを活用できるハイスループット実験系を作り、細胞発生力の変化を網羅的に調べることができる新規研究の基礎を作る。本年度までの研究において、特定の力学的・化学的性質へと改質した細胞培養用基板を用いる同アッセイ系を作製して分子生命系の研究者と共同研究を推進した。幾つかの分子が細胞収縮力(トラクションフォース)に与える影響を調べる実験に取り組んだ。特に徳島大学の佐々木教授らと協力してJRAB分子、また京都大学の木岡准教授らと協力してビネキシン・ファミリーがそれぞれ細胞群および個々の細胞のトラクションフォースに及ぼす影響を定量化してきた。これらの共同研究を通して、トラクションフォースの定量化を実現できるようになった一方で、細胞種に依存して独自の条件設定を行う必要性も明らかになった。特に上皮系または間葉系の形態を有する細胞間でそれぞれ大別される力学的性質を備えることが明らかにされた。ハイスループットでの実験を実現するには、ロバスト性の高いシステムの構築が不可欠であるために、基板の材料選定と改質の方法の再考を進めている。
2: おおむね順調に進展している
細胞収縮力アッセイの基礎を作り、幾つかの分子を対象とした研究を行ってその有効性を実証した。
実験条件(使用基板の表面改質の条件)をさらに詳細に調査・検討を行い、同アッセイの実験精度を向上させる。さらに複数の分子の影響を調べて、アッセイとしての有効性を幅広く実証する。
当初予定していた基板材料にとどまらず、上皮細胞や間葉系細胞など異なる細胞種に適合する様々な力学的・化学的特性を有する基板材料を選定する必要が生じ、その評価を行う必要が生じたため。
次年度使用額は、基板材料費などに利用することを考えている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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