研究課題
細胞は自身の接着部位に負荷される内因性収縮力の大きさに応じてシグナルを調節することが明らかにされつつある。しかしながら、このような力の役割を調べるこれまでのメカノバイオロジーに関する実験方法では測定効率・スループットが低く、細胞内シグナルの全容およびそれを調節することができる薬剤の評価は限定的な実験に留まっていた。細胞収縮力をハイスループットに定量評価することができるシステムを構築し、それを細胞収縮力の調節に関与する薬剤や遺伝子のスクリーニングに適用することを研究目的とする。現在までに本システムの装置の機構的な設計と細胞培養基質の作製のための条件出しは終了した。また、そのシステムを小型化して96ウェルプレートの各ウェル内に実装できる装置の設計と作製も行い、現在はそこから派生して様々な計測に適用するための装置改良に取り組んでいる。その一つとして、細胞収縮力とも関連する細胞外因性の張力もしくは引張りひずみを与え、その細胞応答を96ウェルプレートフォーマットで解析することができる装置を作製した。細胞外因性の張力もしくは引張りひずみに対して、細胞が配向変化応答を示すことを確認した。現在、同システムを用いてハイスループットでの薬剤評価のための実験を続けている。このように力学的刺激に対する細胞応答を高い効率のもとで評価を実施できる幾つかの装置および解析アルゴリズムを開発し、それに基づいてメカノミクス解析を行うための実験を継続している。
2: おおむね順調に進展している
本研究を遂行するための複数の新しい装置・システムの開発が順調に進み、細胞実験を行って、実験データを得ることができるようになったため。
これまでに作製した装置について多方面から性能評価を行い、システムとしての完成度を高める。また、そのシステムを用いて最終目的である分子スクリーニング実験を行う。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://mbm.me.es.osaka-u.ac.jp