近赤外分光法に基づく非侵襲血糖値計測システムは、血中グルコース濃度が低く、かつ、グルコースと水の吸光スペクトルが重畳することに起因して両者を分離計測できないことから実用化に至っていない。これまでに、水の吸光ピークに対応した励起光(1450 nm)を計測光(1600 nm)に重畳することで、観測信号に占める水信号の割合を推定できる可能性を示してきた。本研究では、グルコース水溶液において、励起光強度に伴い計測光強度が上昇することを示した。この信号変化は、光による作用に加え、熱による作用であることを定量的に示し、これらを利用することで、観測信号からグルコース信号を正確に分離計測できる可能性を示した。
|