研究課題
本年度は、薬剤含浸微粒子を包埋したシート型デバイスを検討した。コラーゲン微粒子(COLs)をポリエチレングリコールメタクリレート(PEGDM)のプレポリマーに混合してシート状に光硬化させると、柔軟なシート構造が得られた。薬剤シート表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、COLsが表面に露出していることがわかった。また、シートの断面観察から、COLsはシート内に均一に分布していることがわかった。プレポリマー中のCOLs濃度とシート表面のCOLs密度は比例関係にあり、COLs濃度が300 mg/mL以上で仕込薬剤の80%以上をデバイスから放出可能であった。PEGDMは40kDa以上の分子をほとんど透過させないため、COLsが薬剤透過のためのルートとなるが、上記濃度以上でシート内において相互接続すると考えられる。タンパク質製剤のモデルとして、蛍光標識アルブミンのデバイスからの徐放性を検討したところ、初期バーストの小さい線型的な徐放プロファイルが得られた。これは、COLsとアルブミン分子が静電的に相互作用するためだと考えられる。作製したシート型デバイスは捲回性に優れ、シート表面間に作用するファンデルワールス力によって捲回構造を維持することができた。捲回状態のデバイスを水中に浸漬させると、シート間に作用する引力が解放され、曲げ応力緩和によりデバイスが展開した。さらに、捲回状態のデバイスをシリンジ針から水中に射出させることで、元のシート状に展開させることが可能であった。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り研究が進行しているため。
大幅な研究計画の変更は考えておらず、当初の計画に沿って研究を遂行する。
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