研究課題
今年度我々は、心筋細胞への分化に重要な転写因子を標的としたピロールイミダゾールポリアミドの開発に取り組み、計5報の論文を報告した。中でもSOX2のDNAへの結合を阻害するポリアミドによりiPS細胞から中胚葉への分化誘導に成功し、この成果をNucleic Acids Research誌に報告した。また成人の心筋細胞の多くが大量のミトコンドリアを含んでいる(>30%)ことから、心筋細胞の化合物による更なる制御を可能にするためにミトコンドリア標的遺伝子スイッチ“MITO-PIP”をJournal of American Chemical Society誌に報告した。これらに加えポリアミドによる転写制御の幅を広げるために、ブロモドメイン阻害剤やヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤をポリアミドに導入することにより、ゲノムの部位選択的にヒストンのアセチル化状態を切り替え、転写のON/OFFを可能にする遺伝子スイッチの開発に取り組んだ(Journal of the American Chemical SocietyとEuropean Journal of Medicinal Chemistryに報告)。これまでのproof-of-conceptな実験で示された我々の遺伝子スイッチの有用性が他の細胞分化にも有効であることを示すため、神経幹細胞から神経細胞への分化を促すポリアミドの開発にも成功している。これらの成果は8th World Congress on Targeting Mitochondriaでのkeynote talkも含むアメリカ、スイス、インドなど様々な国で報告し、その結果いくつかの共同研究が進行中である。また研究代表者はインドのBrilliant Publishing OrganizationからRising Star Award 2017の表彰を受けた。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 8件) 備考 (4件)
ACS Omega
巻: 3 ページ: 3608-3616
10.1021/acsomega.8b00220
Journal of the American Chemical Society
巻: NA ページ: In press
The European Journal of Medicinal Chemistry
巻: 138 ページ: 320-327
10.1016/j.ejmech.2017.06.037
巻: 139 ページ: 8444~8447
10.1021/jacs.7b05230
Nucleic Acids Research
巻: 45 ページ: 9219-9228
10.1093/nar/gkx693
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2017/170616_1.html
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2017/170731_2.html
https://cen.acs.org/content/cen/articles/95/i30/Designer-molecule-silences-mitochondrial-genes.html
https://www.asianscientist.com/2017/10/in-the-lab/synthetic-molecule-tissue-regeneration/