研究課題/領域番号 |
16K12914
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
大森 繁 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (60759603)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レーザー / バブル / ジェット流 / 色素 / 半導体レーザー / LD / 変調 / アクチュエータ |
研究実績の概要 |
磁界の影響を受けない手術用マニピュレータの実現を目的とし、レーザー誘起バブルによる新たなアクチュエータを開発するため、レーザー誘起バブルの発生に用いる流体の設定とレーザー光源の選定を行った。従来のパルス液体ジェット流発生では流体として水を前提とし、レーザー光源は水への吸収が優れる波長2.1μmのHo:YAGレーザーに限られていたが、水に色素を混入させることでレーザー光を色素に吸収させて水の温度上昇を誘発させ、レーザー波長の選択肢を広げる検討を行った。色素については、熱による変性、凝固や固着の可能性が無いものとしてカーボン粒子を選定した。カーボン粒子は水に不溶であるが、界面活性剤を用いて水に懸濁させることでレーザー誘起バブル発生用の流体とした。レーザー光源については、波長970nmの半導体レーザー(LD)を選定した。最終目標であるモーター駆動を実現するためには、レーザー光の時間波形が変調可能であることが不可欠となる。LDは駆動電流を変調することで、レーザー光の出力波形を任意に制御することが可能であり、この目的に適合する。波長については、高出力品の入手可能性より970nmとした。予備実験として、出力30Wの波長970nmLDを用い、カーボン粒子を混濁させた流体を満たした外径2mm、内径1mmのステンレスパイプをバブル発生部とし、レーザー照射を行った。その結果、矩形波変調における繰り返し20Hz、1パルスエネルギー300mJにおいて、レーザー誘起バブル由来と考えられる音と微弱な噴流を確認した。機械的な駆動力を得るためには、レーザーパルスのピーク値を上げる必要があり、最大出力200Wの波長970nmLDモジュールを入手し、レーザー駆動系の組み立てに着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1.レーザー光源の導入とレーザー誘起バブル発生部の検討 予備実験までは終了したが、高出力LDモジュールの選定並びに入手に際した納期に想定以上の期間を要した。また、入手した高出力LDモジュールをレーザー光源として使用するための駆動系の組み立て調整にも時間を要し、これを用いた実験が未完了となった。 2.発生力の定量化と最大出力条件の導出 項目1が未完了となったことにより、バブル発生力の定量化並びに最大出力条件の設定については未着手となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高出力LD光源を用いたレーザー誘起バブル発生に関わる実験系の組み立て調整を継続し、バブルによる発生力の定量化と最大出力条件の設定を進めていく。次いで、当初計画に従ってアクチュエータの原理確認モデルの試作までを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
レーザー誘起バブルによる発生力の定量化と最大出力条件の設定を次年度に行うことになり、実験・評価系を構築するための費用が次年度使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
発生力の定量化に必要となる実験・評価系の試作を行うため、部品の外注設計と加工、およびデータ処理システムの導入を予定する。次いで、アクチュエータの基本形態としてビストンシリンダの試作を行うため、部品の外注設計と加工、および応答特性の評価を行うためのセンサシステムの導入を予定する。
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