研究課題
本研究の目的は現在の手術室内での現実的な工学的応用可能技術と,その応用により大きな効用が期待できる新しい治療法の双方向からの検討により,術野内の臓器動態計測・追従による新しいナビゲーション治療技術を創成することである.具体的には,術中に取得可能な術野動体情報を基にした治療誘導技術が臨床上必要な精度を達成しているか(ニーズに基づくシーズの評価),そしてこの技術による誘導により成果の得られる治療法の開発が可能であるか(シーズに基づくニーズの選定)の2つの観点から,内視鏡下手術における二つのナビゲーション技術(マクロ・ミクロナビゲーション技術)開発と治療法提案を実施する.平成29年度においては昨年度に引き続き,ミクロナビゲーション技術として内視鏡下手術等の鏡視下手術の術野映像をセンサ情報として利用した医用画像ナビゲーションでは不可能な時空間的分解能の高いナビゲーション技術の開発を実施した.今年度実績として,①拍動・揺動する臓器の運動を補償しつつ外科縫合用糸針を正確に運針する運動補償型縫合ロボットシステムにおける縫合針自動検出・追従アルゴリズムの基礎開発を行い,動物実験において99%の映像フレームにおいて適切に針の中心位置を捉え,その計算時間は約17ms程度であった.また②腹腔内で移動変形する臓器の形状・運動を計測する手法として,Guided Filterを用いた非線形スケールスペースによるWaFLES腹腔内局所特徴量の検出アルゴリズムを提案し実装した.提案手法はSIFT,SURF,KAZE,AKAZE等の局所特徴量検出器にくらべ計算速度・抽出フィーチャ数のバランスに優れ,臨床での応用可能性が期待された.
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超音波医学, 45(2):159-166, 2018
巻: 45 ページ: 159-166
https://doi.org/10.3179/jjmu.JJMU.R.92