研究実績の概要 |
ヒト大腿骨骨折後の偽関節など難治性骨折を臨床においてしばしば遭遇する。本研究では難治性骨折に対する治療法を新たに樹立することを目的とした。対象はラット、10週齢(オス)難治性骨折モデルを作成し、低容量のテリパラチドの効果の検討および、テリパラチド+ゾレドロネート,テリパラチド+デノスマブの協調効果の検討を行った。結果は低容量テリパラチドのみでは早期骨癒合は見られないが、ゾレドロネートやデノスマブなどの骨吸収抑制剤を投与すると強調効果が見られた。 さらに今回の実験で予想以上にゾレドロネートの早期骨癒合効果(架橋形成など)が強く、テリパラチド単独にくらべ約10倍の効果がみられたことから、ゾレドロネートの軟骨仮骨形成促進作用を検討した。その結果、ゾレドロネートは骨代謝を抑制するが、軟骨仮骨の形成においては促進し、骨癒合においては決してマイナスに作用しない点を明らかにした。 以上の結果を英文雑誌に投稿し受理された。Tsubouchi Y, Ikeda S, Kataoka M, Tsumura H. Combination Therapy with Low-Dose Teriparatide and Zoledronate Contributes to Fracture Healing on Rat Femoral Fracture Model J .Orthop Surg and Res, 13:267-271 2018 また、ゾレドロネートの早期骨癒合効果を用いて、同種骨移植に応用可能かを検討した。結果は仮骨形成が著しく、早期骨癒合の可能性が示唆された。今後検証予定である。
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