研究課題
高齢期骨格筋の特徴として、骨格筋量の低下と筋肉内脂肪量が増加することが知られている。本研究では、高齢期骨格筋で認められる筋損傷後の再生能の低下や脂肪蓄積に対する漢方薬の予防効果について、骨格筋幹細胞である筋衛星(サテライト)細胞の後天的な遺伝子発現制御(エピジェネティクス)に着目して検討する。すなわち、長期的な漢方薬服用が、筋サテライト細胞に塩基配列の変化を伴わない遺伝情報として記憶(メモリー)されていることにより、筋再生能の改善に寄与するという仮説について分子、細胞、組織レベルで検討し、漢方薬がサルコペニアの予防・改善のための筋肉増強(再生)因子となりうるかについて科学的エビデンスを提示することが本研究の主たる目的である。伸張性筋収縮の筋損傷モデルである下り(ダウンヒル)走を若年期ラットに疲労困憊まで一過性に負荷し、その後の筋損傷および再生過程での筋サテライト細胞の諸機能(活性化、増殖、分化)が認められる部位やタイミングをPax7等のマーカーを用いて免疫組織染色法を用いて決定した。我々はこれまでにギプス固定による不活動性筋萎縮を抑制する効能を有する漢方薬(生薬)を同定し、長期的な服用方法についても確立できた。今後は候補生薬を長期服用させた後に、下り走による筋損傷・再生モデルを用いて、筋サテライト細胞の諸機能に対する影響をエピジェネティクス的に検討する。
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