研究課題/領域番号 |
16K12957
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内田 広夫 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40275699)
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研究分担者 |
城田 千代栄 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20378194)
田井中 貴久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30378195)
植村 聖 国立研究開発法人産業技術総合研究所, フレキシブル・エレクトロニクス研究センター 印刷デバイスチーム, 主任研究員 (50392593)
吉田 学 国立研究開発法人産業技術総合研究所, フレキシブル・エレクトロニクス研究センター 印刷デバイスチーム, チーム長 (60358330)
檜 顕成 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (90383257)
延島 大樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, フレキシブル・エレクトロニクス研究センター 印刷デバイスチーム, 研究員 (20750110)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ウエアラブル / 高伸縮性高耐久性 / 心電波形 / 銀メッキ繊維 / フレキシブル無線モジュール |
研究実績の概要 |
本開発では、極薄シリコン回路チップをフレキシブル回路基板に集積化したフレキシブル無線モジュールと、配線・電極形成テキスタイルを開発し、これらを接続したセンシングウェアの実証試験を行うことを目的とする。フレキシブル無線モジュールの開発として、極薄シリコン回路チップを実装するためのフレキシブル基板の実装方法に関する検討を行った。極薄シリコン回路チップにテキスタイルの歪が伝達しないような歪緩衝構造をフレキシブル基板に設けて実験を行った。実際に極薄シリコン回路チップ実装部の歪レベルを低減できることを確認した。また920MHzとUWB帯を用いた無線通信モジュールを作製し、多数の心電波形の無線通信の確認を行った。920MHzは長距離通信・低データレートという特徴があり、UWB帯は短距離通信・高データレートという特徴がある。 配線・電極形成テキスタイルの開発について、心電を測定するセンシングウェア開発のために、銀メッキ繊維を柔軟基材上にパターニングするプロセスを開発した。本プロセスで作製した電極について耐伸縮性、耐洗濯性を評価した。100%伸長時に初期値からの抵抗値変化が40%以内であった。また、10回の洗濯後に初期値からの抵抗値変化が60%以内に抑制できることが明らかとなった本電極を用いて心電波形計測を行ったところ、現行の電解質ゲル電極を用いた波形と同等の波形が得られることが確認された。 実証試験について、センシングウェアで検出対象とする疾患は虚血性心疾患及び不整脈疾患とすることにした。特に血圧変動を来す不整脈疾患の検知を目標とするため、血圧の変動を検知するするシステムについても検討し、検知対象とする動脈として橈骨動脈・尺骨動脈、肘動脈を設定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は心拍センシングとしていたが、テキスタイル上電極のメリットが生かせる心電センシングとした。開発費がかかる緩衝構造を備えた極薄シリコン回路チップの開発は行わず、樹脂材料を微細加工して緩衝構造を有するフレキシブル基板とする方法で、フレキシブル無線モジュールを作製することにしたが、実際に極薄シリコン回路チップ実装部の歪レベルを低減できることを確認できた。また920MHzとUWB帯を用いた無線通信モジュールを作製し、多数の心電波形の無線通信の確認を行った。920MHzは長距離通信・低データレートという特徴があり、UWB帯は短距離通信・高データレートという特徴がある。 配線・電極形成テキスタイルの開発について、心電を測定するセンシングウェア開発のために、銀メッキ繊維を柔軟基材上にパターニングするプロセスを開発した。すると耐伸縮性、耐洗濯性をかなり有しており、現行の電解質ゲル電極を用いた波形と同等の波形が得られることが確認された。かなり順調に研究が進展しているが、上記のように当初の予定から変更がいくつかあった。
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今後の研究の推進方策 |
フレキシブル無線モジュール、配線・電極形成テキスタイルの接合接着技術の転写技術の開発を行う。転写に関しては極薄シリコン回路チップをSOIウェハから剥離し、フレキシブル基板へ転写する方法の開発を行う。このチップは極薄(数 μm~数十 μm)であるため、軽い粘着性のある樹脂にチップを押し付け持ち上げることでSOI基板から剥離し、フレキシブル基板上に置き、その後、樹脂からの剥離を行う手法を用いる。この際、樹脂の選定や剥離方法の開発が必要となるため、樹脂を評価する装置やボンディング用の装置を導入する。転写後、以前開発した配線、封止技術を用いて、フレキシブル基板上に極薄シリコン回路チップを固定する。 テキスタイル上への集積化技術開発する。テキスタイル材料上では、一般的な伸縮性基板材料と異なり、表面のラフネスが非常に大きい。これに対応するため、平成28年度に開発した伸縮性基板に対する各部材の形成技術をテキスタイル材料用にカスタマイズした。よって、平成29年度は各部材・回路について下記の様な研究開発を行う。伸縮配線については、平成28年度に開発した伸縮配線形成技術を用いてテキスタイル材料上への伸縮性導電材料形成を試み形成した伸縮性導電配線に対し、伸縮配線評価装置を用いた特性評価する。 封止膜については、センシングウェアとしての使用状況を想定して、封止性能評価を行う。柔軟電極材料を用いた生体電位計測用電極については、平成28年度に開発した電極形成技術を基にして、テキスタイル材料上への柔軟生体信号センシング用電極の形成技術を開発すると共に、テキスタイル材料上のセンサ電極に対して特性評価を行う。 心電心拍数の変化をリアルタイムにとらえ、着心地の良いセンシングウェアの作製と検証を行う。健常者においてセンシング部位による測定値の有効性・信頼性の検証を体の異なる部位(上腕・前腕・指先・左右差等)で行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は心拍センシングとしていたが、テキスタイル上電極のメリットが生かせる心電センシングとした。開発費がかかる緩衝構造を備えた極薄シリコン回路チップの開発は行わず、樹脂材料を微細加工して緩衝構造を有するフレキシブル基板とする方法で、フレキシブル無線モジュールを作製することにしたが、実際に極薄シリコン回路チップ実装部の歪レベルを低減できることを確認できた。 配線・電極形成テキスタイルの開発について、心電を測定するセンシングウェア開発のために、銀メッキ繊維を柔軟基材上にパターニングするプロセスを開発した。すると耐伸縮性、耐洗濯性をかなり有しており、現行の電解質ゲル電極を用いた波形と同等の波形が得られることが確認された。かなり順調に研究が進展しているが、上記のように当初の予定から変更がいくつかあった。
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次年度使用額の使用計画 |
フレキシブル無線モジュール、配線・電極形成テキスタイルの接合接着技術の転写技術の開発を行う。転写に関しては極薄シリコン回路チップをSOIウェハから剥離し、フレキシブル基板へ転写する方法の開発を行う。テキスタイル上への集積化技術開発する。テキスタイル材料上では、一般的な伸縮性基板材料と異なり、表面のラフネスが非常に大きい。平成29年度は各部材・回路について伸縮配線評価装置を用いた特性評価する。封止膜については、センシングウェアとしての使用状況を想定して、封止性能評価を行う。平成28年度に開発した電極形成技術を基にして、テキスタイル材料上への柔軟生体信号センシング用電極の形成技術を開発すると共に、テキスタイル材料上のセンサ電極に対して特性評価を行う。 心電心拍数の変化をリアルタイムにとらえ、着心地の良いセンシングウェアの作製と検証を行う。
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