研究課題/領域番号 |
16K12958
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森本 政之 神戸大学, 工学研究科, 名誉教授 (10110800)
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研究分担者 |
佐藤 洋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 部付 (10260423)
佐藤 逸人 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30346233)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ユニバーサルデザイン / 音響案内 / 視覚障がい者 / 音の移動感 |
研究実績の概要 |
まず,スピーカを2つに限定し,周波数が異なる2つのトーンバーストをそれぞれのスピーカから交互に再生し続ける条件において,聴取者に音が移動していると感じる方向を回答させる実験を行なった。スピーカは聴取者正面を0°とし,左右25°に1つずつ配置した。スピーカと聴取者の頭部中心に相当する位置の距離は1.5m,スピーカの高さは1.2mである。トーンバーストの継続時間は80ms,トーンバースト間の時間間隔は160msで一定とした。実験のパラメータは再生を開始する際の(1)スピーカ位置(左→右,右→左の2種類),(2)トーンバーストの周波数(440Hz→500Hz,500Hz→440Hz,440Hz→440Hz)の3種類である。これらの組み合わせで6種類の刺激を用いた。聴取者には,音が移動していると感じる方向について「左から右」,「右から左」,「分からない」のいずれかで回答させた。実験結果から以下を明らかにした。(1) 4名中3名の聴取者はトーンバーストの周波数によらず,最初に提示された順序で2つのトーンバーストを群化し, それに基づく音の移動感を知覚した。(2) 4名中1名のみがトーンバーストの周波数に基づいて音の移動感を知覚した。 この実験結果より,トーンバーストのように周波数の時間変化が無い音では,聴取者によらず音の移動感を生じさせる手がかりにはならないと考えられる。そこで,次に周波数スイープ音を刺激として用い,周波数の変化方向や変化速度をパラメータとした実験の計画・準備を行った。実験準備は完了しており,平成30年度はこの実験から研究を開始する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に周波数をパラメータとした実験をもう1つ実施する予定であったが,既往の研究調査等に時間を要し,実験計画・準備の段階にとどまったこと。ただし,実験準備はほぼ完了しており,やや遅れている状況と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度も引き続き,音の移動感を知覚するのに最適な逐次提示される音の特性について検討する。なお,研究計画段階では実際の方向を含む実証実験を実施する予定であった。しかし,音の移動感に関して聴取者の個人差が多く見られることが実験室実験により明らかになったため,個人差が生じない共通の音の移動感の手がかりについて,基礎的な研究を優先して進めるべきと判断し,本研究課題の範囲では実証実験は行わないものとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた被験者に対する謝金が発生しなかったことが主な理由である。 (使用計画) 平成30年度における実験の被験者謝金として使用する。
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