研究課題/領域番号 |
16K12961
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
網本 和 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (70326023)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Virtual Reality / リハビリテーション / 半側空間無視 / ヘッドマウントディスプレイ |
研究実績の概要 |
平成28年度は健常者を対象として基礎的検討を実施した。29年度は、脳血管障害片麻痺症例を対象として「USN症例に対する3次元Head Mounted Display アダプテーションの効果」について検討した。 【目的】半側空間無視の治療に視野を水平面上で変位させるプリズムアダプテーション(PA)が報告されているが実際のUSN患者では水平面だけでなく,前額面上での変位も同時に起きているとされる.Head Mounted Display(HMD)とwebカメラを使用することで,視野を水平面と前額面の三次元上で変位させることが可能となっている.今回, USN症例への介入で効果がみられた1症例を報告した. 【方法】書面にて説明し同意を得た80代男性(出血性脳梗塞左マヒ,左半側空間無視,注意障害)を対象とした.介入の前後に評価課題として,線分二等分試験,線分抹消試験,星印抹消試験を実施した.また,自身の上肢が見えない状態で体幹正中、胸骨柄の高さを人差し指で指差す課題を10回ずつ行わせた。介入は胸部前方に4点のターゲットを表示し、目視しつつランダムに計48回指差しをさせた。その際、HMDに装着したカメラを水平面上で右へ、前額面上で反時計回りにそれぞれ10度傾けた。 【結果】介入の前後で線分二等分試験が中心から右へ73mm→9mm,線分抹消は96秒,左2列消忘れ→65秒,消忘れなし,星印抹消試験は210秒左側6つ消忘れ→99秒左6つ,右5つ消忘れと変化した.正中前方指し示し課題で,前後を比較すると平均で左へ178mm,下へ53mm変化した. 【考察および結論】それぞれ,机上テストにおいてUSN症状が改善したことと,ボディーイメージでの体幹の真正面も左下へ移動していた.机上テストで左下の見落としが残るとされているが,HMDアダプテーションによって,左下方の見落としも改善されると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで片麻痺症例4例、半側空間無視症例3例について本研究のプロトコルに基づき実施したが、目標症例数の60%程度となっている。引き続き関連病院での症例を募集し症例数を加えていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
症例参加を募集する関連病院では、本研究のプロトコルに理解が得られており、取り込み基準に従った症例が参加希望であれば随時データ収集が可能な体制となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加者への謝金について固辞されたため「人件費・謝金」は発生しなかったため繰越金が生じた。30年度については成果発表及び論文校正費として活用してゆく予定である。
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