視野障害のシミュレーションにより、求心性視野狭窄と中心暗点における認知的不利益の違いを明らかにした。前者では視野の狭小化とともに成績が低下するが、後者では残存周辺視野が十分広くても成績は向上しなかった。この結果の背景に、中心暗点における注意スパンの問題があると考え、周辺視野に注意を拡げる練習を5日間行なった。その結果、練習群は課題達成時間・正答率ともに成績が向上した。特に5°と10°の暗点で顕著な効果を認めた。非練習群の成績に変化は見られなかった。注意の拡大は、残存周辺視野が有効利用できない中心暗点の認知的不利益(状況把握や効率的な物体検出などの問題)を改善する可能性がある。
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