研究課題/領域番号 |
16K12976
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
竹田 隆一 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (30171656)
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研究分担者 |
坂井 伸之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00267402)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 剣道 / 面打ち運動 / 力学的運動法則 / 運動指導法 |
研究実績の概要 |
初年度は実績概要について、(1)力学モデルと運動法則によって合理的な動作の原理を解明する。(2)理論に基づいた指導法を開発し、主に中学校体育で活用できる指導書を作成する。(3)外国人も理解できる指導書を作成する。の3項目を示した。これを踏まえ、昨年度は、(1)について、新たな知見を積み重ねることができた。具体的には、「多段階ブレーキ効果」と「下肢の支点移動」である。「多段階ブレーキ効果」は、初年度示した「ブレーキ効果」のい理論を更に深化させたもので、竹刀の振り下ろし時に、前方に移動する竹刀に、はじめに左手のブレーキがかかり、次いで右手のブレーキがかかる、つまり二重のブレーキが働くわけである。それによって、竹刀の先端に勢いがつき、速い振りとなるのである。また、「下肢の支点移動」とは、左脚で蹴り、右足で踏み込む(作用反作用効果)局面において、左脚の一点を支点にして、上肢が動くわけだが、そのとき、左脚の支点が移動しながら上肢が前方に移動することである。これによって、より勢いをつけて踏み込み運動が遂行されることがわかった。 さらに、(2)については、物理学的理論を深める一方で、指導法の基礎について深めた。初年度は、①エレベーター効果を得るために、送り足を連続しておこなうこと。②上肢と下肢の作用・反作用効果を得るために、ギャロップ運動を利用すること。③打突運動においてブレーキ効果を得るために、実際に物を打つこと。を示したが、昨年度は、それらを検証し、さらに、「多段階ブレーキ効果」を効果的に遂行できることを目的に「跳ね上げ竹刀振り」の練習法を考察した。また、上肢と下肢の協応を効果的に練習できる「跳躍正面打ちからの面打ち」を効果的で有効な練習法と考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
査読付き学術誌1編(『剣道における「面打ち」運動の力学的研究2 -モルフォロギー的分析を通してー』が掲載された。また、学会発表を1回(『It is necessary to practice bacic(large)men-uchi to master practical(compact)men-uchi?』)おこなった。さらに、2編『武道・スポーツの基礎となる棒の力学II:多段階ブレーキ効果』、『武道・スポーツの基礎となる棒の力学III:足の支点移動』)が審査中で、今後掲載される見通しである。また、国内での事理一致運動研究会を2回(山形大学、愛媛 松山市)おこなった。さらに、台湾とフィンランド・エストニアにおいて成果の発表セミナーをおこなった。 よって、研究計画が順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、竹田が病気治療のため予定していたフィンランドセミナーは坂井だけでおこなった。ここまでの、物理学的理論の進展、深化を踏まえ、今年度は指導法の開発を中心に検討する。そのため、国内研究会が中心となる。また、その結果を踏まえ、予算内での海外セミナーも予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
理論の深化と指導法開発の検討のため、共同研究者との討議の機会の必要性が増大した。そのため、指導法考察のための機器の購入と年間4~5回の研究会の実施のための予算とする予定である。また、今年度は、国内研究会の充実のために使用することが中心となるが、予算内での海外セミナー(ラトビア、リトアニア)の実施に使用する予定もしている。
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