インドネシア火山噴火被災地における伝統的運動遊びを活用した心理社会的教育の提案

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K12980
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 杉山 佳生 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50284922)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 心理社会的教育 / 伝統的運動遊び / 児童 / スピリチュアリティ / 噴火被災地 / 国際研究者交流 / インドネシア

研究実績の概要

本研究全体の目的は，インドネシアにおいて伝統的に行われている身体活動を伴う遊び（伝統的運動遊び）の心理社会的効用を明らかにすること，および，同国の火山噴火被災地在住小学生の心理社会的健康の維持・増進に資するような，伝統的運動遊びを導入した心理社会的教育プログラムを構築し，試行し，その効果を検証することである。この目的達成のために，平成29年度は，下記の調査研究活動を行った。
１．伝統的運動遊びの効用の精査と実際の影響に関する調査
伝統的運動遊びのどのような要素が，心理社会的教育効果を生み出すのかを明らかにするために，教育プログラムに取り入れた各種伝統的運動遊びについて，文献資料や映像資料等を通じて，その内容を精査し，特徴を整理した。また，伝統的運動遊びの実践実態を把握するとともに，その経験がメンタルヘルスやスピリチュアリティなどの心理社会的側面にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにするために，小学校4～6年生862名を対象として，伝統的運動遊び経験を調査するための質問紙を実施し，そのうちの6年生305名については，メンタルヘルス等にかかる調査も行い，影響関係を検討することとした。これらについては，2018年3月31日現在，収集したデータの分析を行っているところである。
２．伝統的運動遊びを導入した心理社会的教育プログラムの効果の検証
ジョグジャカルタ・ムラピ火山近郊の15小学校（実施群5校，統制群10校）の4～6年生881名を対象として，前年度（2017年1月）から継続して行っている調査のデータ収集を完了した。それに引き続き，プログラムの効果を多面的に検証することを目的として，2017年7月に，2018年6月までの予定で，教育プログラムの内容は変えず，測定事項を一部変更して，同様の調査を開始した。2018年3月31日現在，調査は継続中である。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

必要とされるデータ収集は，順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

引き続き，当初計画に則って，調査を遂行していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

（理由）割安航空券等の利用により旅費を節約したことで，若干の未使用分が生じることとなった。
（使用計画）未使用分は，調査や研究協力者との情報交換をより綿密に行うために活用する予定である。