研究課題/領域番号 |
16K12980
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉山 佳生 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50284922)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心理社会的教育 / 伝統的運動遊び / 児童 / スピリチュアリティ / 噴火被災地 / 国際研究者交流 / インドネシア |
研究実績の概要 |
本研究全体の目的は,インドネシアにおいて伝統的に行われている身体活動を伴う遊び(伝統的運動遊び)の心理社会的効用を明らかにすること,および,同国の火山噴火被災地在住小学生の心理社会的健康の維持・増進に資するような,伝統的運動遊びを導入した心理社会的教育プログラムを構築し,試行し,その効果を検証することである。この目的達成のために,平成30年度は,下記の研究活動を行った。 1.伝統的運動遊び経験の影響にかかる調査の結果報告 遊び・スポーツ経験が被災地の子どもたちの心理社会的側面に及ぼす影響にかかる調査の結果を,日本体育学会大会で報告した。具体的には,噴火被災地在住の小学6年生において,伝統的運動遊び,および,現代スポーツの実施頻度と,心理社会的スキル,宗教性・スピリチュアリティ,不安等のネガティブ感情との関係を検討し,その結果,概して,遊び・スポーツの実施頻度が高いほど,ネガティブ感情は低くなる傾向が認められた。その一方で,ある種の現代スポーツを「ほぼ毎日」実施している者でネガティブ感情が高くなる傾向があり,伝統的運動遊びの特段の優位性は認められなかったものの,伝統的運動遊びと現代スポーツの影響の違いをうかがわせるものがあった。 2.伝統的運動遊びを導入した心理社会的教育プログラムの効果 噴火被災地の15小学校(実施群5校,統制群10校)の4~6年生881名を対象として行った調査の結果をまとめ,国際学会YISHPESS2018兼CoIS2018において発表し,プロシーディング(Advances in Social Science, Education and Humanities Research, vol.278)で論文化した。研究の結果は,構築した心理社会的プログラムは宗教性・スピリチュアリティの向上に貢献するというものであり,プログラムの有効性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた研究は,ほぼすべて,実施された。
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今後の研究の推進方策 |
研究をより精緻なものとするために,収集データの分析を一層詳細に行い,その結果を取りまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)旅費,人件費,英文校閲料等を効率的,節約的に使用したことで,未使用分が生じることとなった。 (使用計画)未使用分は,詳細な分析および成果報告で使用する予定である。
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