研究課題/領域番号 |
16K12983
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
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研究分担者 |
今井 美沙 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50709003)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | がん哲学外来 / がん教育 / 死生観の教育 |
研究実績の概要 |
「がん哲学外来」は医療現場と患者の間にある「隙間」を埋める為に生まれ、現在まで全国約140カ所への広がりを見せている。同時に、「がん哲学外来市民学会」の開催や「がん哲学外来コーディネーター」養成を行い、「がん哲学」の質を担保するための仕組み作りも行なっている。各地へのさらなる「がん哲学外来」の開設のためには、患者の視点に立ち、利便性と安全性を兼ね備えたネットワークの構築が必要である。 昨年度に引き続き、本年度も申請者の所属する順天堂大学のある文京区の小学校・中学校にて「がん教育」を行ったほか、平成29年8月28日には文京区の小学校教員対象講習会を順天堂大学にて開催し、「がん教育」を行う先生の対する教育システムの確立を試みている。さらに、文京区と共催で平成30年1月29日にはがん教育シンポジウム「『がん教育』について考える」を文京シビック小ホールにて開催し、市民・学校・大学が協力して「がん教育」を行えるようなシステムの構築に向けた活動を行った。また、今年度は文京区教育センターとともに「小学校がん教育検討委員会」を立ち上げ、区立小学校校長、教務担当主幹教員、体育主任、養護教員とともに、3回(平成29年5月22日、平成29年8月21日、平成30年2月13日)の検討委員会を開催し、指導資料「文京区モデル 小学校におけるがん教育」を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がんは国民の約半数が罹患し、3人に1人が何らかのがんにより死亡しているが、いまだに「がん」は死に直結する怖い病気であるというイメージから、多くの人が「がん」と宣告されると混乱し、治療法などをきちんと選択をすることができない。さらに、現在の医療は、医療者中心で、患者の視点が、依然、不足している。申請者が提唱した「がん哲学外来」を基盤とし、昨年度、構築した「がんを知り・共に学ぶ場」の拡充のための基盤を元に、今年度も文京区と共同して、小・中学校へ医師を派遣し「がん教育」を行ったほか、教員向けのがん教育講座、そして、市民公開講座を行った。さらに、今年度は新たに、文京区教育センターと共同で指導資料「文京区モデル 小学校におけるがん教育」を作成を行ったことから、昨年度構築された基盤を元に、がん患者やその家族・友人、医療従事者をはじめとした一般市民が「がんを知り・共に学ぶ場」の拡充が予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、全国へ普及した「がん哲学外来」を中心として、がん患者やその家族・友人、医療従事者をはじめとした一般市民が「がんを知り・共に学ぶ場」の拡充を目指す。さらに、文京区教育センターと共同して作成した指導要領「文京区モデル 小学校におけるがん教育」を活用した検証事業を実施し、申請者を中心とした医師が見学し、Feedbackを行うことで、指導要領「文京区モデル 小学校におけるがん教育」の完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
小学生への「がん教育」を行うための指導要領「文京区モデル 小学校におけるがん教育」の作成の際、現場で働く先生方との意見交換に時間が必要であり、案の作成は完了したが、完成まで至らなかったため。また、小・中学校へのがん教育に関して、文京区から継続的に依頼があり、継続的に行っていく必要であると判断したため。
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