研究課題/領域番号 |
16K12992
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
海老原 修 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (50185138)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 障害者スポーツ / パラリンピアン / 学校体育 / インクルーシブ教育 |
研究実績の概要 |
平成28年度の主要な研究課題は障害者スポーツ環境を評価するべく、その代表となるパラリンピアンを取り上げ、彼らの生育過程における学校体育の影響を検討した。(公財)ヤマハ発動機スポーツ振興財団・平成27年度調査研究「障害者スポーツ選手発掘・育成システムのモデル構築にk向けた基礎的調査研究報告書」のデータ使用許可を得て再検討を試みた。2015ジャパンパラ水泳競技大会ならびに陸上競技大会に参加した218名の有効回答のうち、学校体育に関する回答者は171人であった。小学校体育には「ほぼ参加した」が最も多く117人、「できるものは参加した」28人、「ほぼ見学」2人、「不参加」3人、「その他」2人であり、学校種別間の差は認められない。中学校体育では「ほぼ参加した」が最も多く124人、「できるものは参加した」26人、「ほぼ見学」2人、「代替え授業を受けた」3人、「不参加」1人、「その他」1人であり、特別支援学校では学校体育への参加度が高い傾向が確認できる。高等学校体育では「ほぼ参加した」が最も多く140人、「できるものは参加した」13人、「ほぼ見学」4人、「代替え授業を受けた」1人であり、特別支援学校では学校体育への参加度が高い状況にある。この再分析を通じて、障害児童や生徒を囲むスポーツ環境は、①障害者スポーツの高度化と大衆化に向けた学校体育のあり方の細分化が求められ、とりわけ②障害者スポーツの大衆化にむけた学校体育と地域スポーツの連携があり方は未着手の状態であり、③その過程で障害者スポーツに障害児と健常児が合同で参画するシステム構築が求められる。また、第67回日本体育学会(大阪体育大学)に参加しインクルーシブ教育における障碍者スポーツの位置づけに関する資料収集するとともに、平成29年度に先行して車椅子バスケットボール用の車椅子を準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
障害者スポーツの高度化と大衆化における学校体育のあり方の論議は未着手の現況にあるが、その中で高度化を代表するパラリンピアンのスポーツ・キャリアにおける学校体育の現状を再分析した。また、第67回日本体育学会(大阪体育大学)に参加しインクルーシブ教育における障碍者スポーツの位置づけに関する資料収集するとともに、平成29年度に先行して車椅子バスケットボール用の車椅子を準備した。
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今後の研究の推進方策 |
横浜市にある障害者スポーツ文化センター横浜ラポールが開催する横浜市立小・中学校での車椅子バスケットボール体験事業を取り上げ、健常児が障害者スポーツを体験する仕組みにインクルーシブ教育のあり方を論議するヒントを見出しており、平成29年度ではその体験授業の前後での障害者や障害者スポーツへの関与がいかに変動するかを検討する可能性がある。さらに大学体育への障害者スポーツの導入を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
車椅子バスケットボール用の車椅子はその専門性や安全性を確保するために高額な水準にあり、学校体育での体験するために、最低6台を準備して、ゲーム形式となる3on3を実施する計画となる。そのために平成28年度の予算を繰り越して平成29年度に同器具を最低6台準備する予算の変更となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度では学校体育に障害者スポーツを導入する試みとして車椅子バスケットボール用車椅子を最低6台準備する予定である。さらに障害者スポーツ文化センター横浜ラポールが先行して実施する「車椅子バスケットボール体験」事業に焦点を絞り、同プログラムのインクルーシブ教育への影響を検証するべく、同プログラムに参加する児童・生徒の障害者ならびに障害者スポーツへの気づきを体験前後の調査票で確認する計画である。
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