研究課題/領域番号 |
16K12996
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
七五三木 聡 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20271033)
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研究分担者 |
荻野 正樹 関西大学, 総合情報学部, 教授 (00397639)
林 勲 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70258078)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脳状態 / 眼球運動 / 固視微動 |
研究実績の概要 |
アスリートの脳状態を定量評価するために、固視中のマイクロメーターレベルで生じる眼球運動(固視微動)と視覚機能(視知覚の時間分解能)についての計測評価法を確立し、その特性を検討した。固視微動についてはVideo oculography(VOG)法による強膜血管像の高速撮像と、得られた動画の局所特徴をSpeeded Up Robust Features (SURF)により抽出を組み合わせた方法により、マイクロメーターレベルの高解像度計測法を確立した。視機能計測には、高リフレッシュレートの液晶ディスプレィに 短時間(10 ミリ秒)フラッシュ呈示されるGabor 刺激をインターバルを挟んで連続呈示し、その刺激間インターバルを徐々に短くしていき、被験者が連続呈示と知覚した時点における時間周波数をちらつき値として計測した。Gabor 刺激は大脳皮質一次視覚野ニューロンの受容野構造にマッチしており、それらのニューロンを最も強く活動させる刺激となっている。これにより順応耐性や発火頻度の限界値が高い視床ニューロンではなく、大脳視覚皮質の時間分解能を視知覚時間分解能として定量評価することできる。これを用いて、被験者の心身状態(覚醒水準、身体的疲労度、精神的疲労度、感情の種類と程度など)をVAS法によりにより定量化し、視知覚時間分解能との関係を調べたところ、様々な心身状態評価値とともに視知覚時間分解能も日内・日間変動すること、また、その変動は覚醒水準と相関を示すことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の計画目標は、脳状態評価システムを構成する視機能計測法と固視微動計測法を確立することであった。計画は順調に進んでおり、①Gabor刺激を高速でフリッカーさせることで、視覚系の時間分解能を計測する視機能計測システムと②眼球の高速・高倍率撮像と動画処理技術による固視微動計測システムを予定通りに確立した。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度に確立した視機能計測システムと固視微動計測システムを用いて、アスリートおよび非競技者の機能評価および脳状態の推定を行う。また、運動によりもたらされる疲労状態との関係を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
視機能計測システムに使用するPCを購入する予定であったが、本年度実施した実験の解析結果から、当初予定していたスペックでは実験に使えないことがわかったため、次年度に繰り越して購入することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
ディスプレィポートが設置され、100kHz以上のリフレッシュレートの液晶ディスプレィに対応可能なPCを購入する。
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