研究課題/領域番号 |
16K13000
|
研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
吉武 康栄 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (70318822)
|
研究分担者 |
萬久 博敏 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 准教授 (50239167)
矢内 利政 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (50387619)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ボディポジション / 呼吸筋 / 競泳 / 水中モーションキャプチャ / 肺気量 / 身体重心高 |
研究実績の概要 |
競泳競技は,密度の高い水中をできるだけ速く移動することが求められるため,水力抵抗の減少がパフォーマンス向上の鍵となる.さらに,競泳競技は,水圧の影響や呼吸数・時間が限定されていることより,呼吸動作に高い負荷がかかり,レース後には“吸気筋”の収縮能力が低下する.したがって,レース後半には,吸気筋活動の顕著な増大→吸気筋の疲労発現→1回吸気量の減少(浮き輪の機能の低下)→“浮力”の低下→泳者の水面からの位置(ボディポジション)の低下→水力抵抗の増加→泳パフォーマンスの低下を引き起こす,という仮説が立てられる.
本年は,競泳パフォーマンス発揮中の後半には,吸気筋の筋疲労が発現→限られた時間内での吸気量が低下(肺気量の低下)→浮力が低下→泳者のボディポジションが低下→泳者が受ける水力抵抗が増大、という競泳種目特異的な要因によってパフォーマンスの低下が生じていると仮説を立てた.そこで,上記の仮説を検証する第一歩として,肺気量の違いが泳動作中のボディポジションに与える影響を検討することとした.その結果,水中モーションキャプチャシステムによって定量化した身体重心高は,高い順に吸い切り条件(171.7 cm),中間条件(171.1 cm),吐き切り条件(167.9 cm)となり,吸い切り条件と中間条件の差は0.6 cm,吸い切り条件と吐き切り条件の差は3.8 cmであった.このことより,吸い切り条件および中間条件と比較して吐き切り条件では,ボディポジションは低下したと言える.以上より,肺気量が小さくなると泳動作中のボディポジションは低下することが明らかとなった.競泳レース後半に肺気量が小さくなるのであれば,仮説通り,それがパフォーマンスの低下の一要因になる可能性が示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通りに実験が進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,
1)水泳中の吸気筋の筋疲労特性・吸気特性とボディポジションとの関連性を明らかにした後,2)吸気筋に特化したトレーニングによって,ボディポジションおよび泳パフォーマンスが向上するか検証する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験の効率化を行った結果,検者謝金などが節約できたため.
|
次年度使用額の使用計画 |
実験の効率化を利用し,被検者数の増加を予定している.その費用に充てる予定である.
|