研究課題/領域番号 |
16K13001
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
舛本 直文 首都大学東京, オープンユニバーシティー, 特任教授 (70145663)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オリンピズム / オリンピック研究 / オリンピック平和運動 / オリンピック休戦賛同の壁 / オリンピック休戦センター / 休戦の壁 / 休戦の壁画 |
研究実績の概要 |
本研究は、オリンピック競技大会の主要目的である平和運動推進のための方法として、その可視化と印象的なアピールのために「オリンピック休戦賛同サインの壁」(以下、「休戦の壁」と略記)の設置目的とその歴史的経緯について明らかにし、今後の有効活用に向けた示唆を得ることを目的とするものである。そのために、以下の4つの下位目的を設定する:(1)これまで設置されてきた「休戦の壁」の存在を確認すること、(2)それらの「休戦の壁」の平和運動としてのこれまでの設置目的と活用の実態を明らかにすること、(3)2016 年以降の夏季・冬季オリンピック・パラリンピック大会における「休戦の壁」の設置と活用について確認すること、そして、(4)2020 年東京オリンピック・パラリンピック大会時の有効活用法に向けた示唆を得ること、である。平成29 年度は以下の研究に取り組んだ。 (1)2010年バンクーバー冬季大会の選手村跡地の現地調査を実施した。選手村跡地の記念公園に「休戦の壁」賛同署名者の名前が刻まれた記念モニュメントの存在を確認した。調査時の来園者は多くはなかった。 (2)アムステルダムのオリンピック・スタジアムのマラソンタワーの聖火台の現地視察を行った。オリンピック博物館が予算上の理由で閉鎖されていて、オリンピック平和教育機能を果たしていないことが確認できた。 (3)2018年平昌冬季大会の現地調査により、韓国の平和運動の調査を実施し,平和的レガシーの確認作業を進めた。 (4)2016年リオ大会の「休戦の壁」から「休戦の壁画」へと名称変更となり、2018年平昌冬季大会でもこの名称が使用されたことを確認した。2020年大会での名称についてIOCの意向等を確認中である。各大会組織委員会の関係者、関連のオリンピック・ミュージアムおよびオリンピック研究所等の協力を得て情報を収集し、分析・纏めを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、予算配分額に応じて毎年2カ所のオリンピック開催都市を現地調査して、「休戦の壁」の所在とその活用状況を確認するという研究計画に基づいて実施している。そのため、平成29年度はバンクーバーおよび平昌の2都市の現地調査を実施することができた。加えて、アムステルダムの訪問機会を得て、世界初の聖火点灯の聖火台の確認とミュージアムの閉鎖という事実を確認することができた。残された1年間でブエノスアイレスのYOG大会時の「休戦活動」他の調査を予定しているため、本研究の進捗状況はおおむね順調であると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究では、2008年北京大会の「休戦の壁」の存在確認と活用状況、2018年ブエノスアイレスYOG時の平和運動を対象に、各大会の組織委員会関係者、オリンピック博物館、オリンピック研究所の現地調査を行い、情報収集・分析・纏めを行う予定である。また、オスロの国際学会参加時に、ホルメンコーレンのスキーミュージアムやリレハンメルのオリンピック・ミュージアムを視察して、平和運動関係の情報を得る予定である。 得られた研究成果は、来るICSEMIS日本大会など国際学会にて報告する予定であり、日本オリンピック・アカデミーのJOAオリコン部門コロキウムでの報告およびJOAwebsiteで発信する予定である。
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