研究課題/領域番号 |
16K13002
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
山内 宏志 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (60709616)
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研究分担者 |
清水 安夫 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (00306515)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知能力 / サッカー / 審判員 / アセスメント / 集中力 / VR / 映像テスト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,サッカー審判員のパフォーマンス貢献要因としての認知能力を評価して,よりフェアで安全で楽しいゲームを行うことができるよう環境を整えることである.現在,下記の3つのテストを作成済みであり,随時実施また分析中である. (1) 認知能力テスト:知能検査WISC-IIIを基にしたテストにより,空間把握能力,短期記憶,非言語推理力を測った. (2)集中力テスト:グリッドエクササイズ法を用いて、A4の用紙にランダムに書かれた1から50の数字を順番に○をしていき,1分間に確認できた数字の数を集中力テストのスコアとした. (3)映像テスト:バーチャルリアリティー(VR)技術を用い,審判員の視点でSONY製α7デジタル一眼カメラ2台に広角レンズを取り付け,3次元的に撮影した映像を編集し,VR判定テストを作成した.VR映像の再生にはPlayStation 4Pro並びにPlayStationVRを使用し,仮想空間による判定の疑似体験を可能とした. 現在,被験者数はサッカー審判員18名(日本サッカー協会サッカー2級審判員:10名,3級審判員:8名)であるが,さらに複数の実験を調整中であり,被験者数は随時増えていく計画である.ここまでに収集したデータを基に解析した結果,認知能力テストと映像テストとの関連性は明らかになっていないが,集中力テストと映像テストとの間で重回帰分析を実施した結果,負の交互作用が見られた.すなわち,集中力が高い審判員ほど,判定の精度の精度が低いという興味深い結果を得た.また映像テストをクラスタ分析した結果,主審の判定要素を想定したテストと,副審を想定したテストの2種類のテストが異なる領域であることが示された.以上の知見については,日本体育測定評価学会大会にて学会発表を行っているが,さらにデータ数を増やし,研究を進めていく所存である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知能力テスト,集中力テスト,映像テストの作成を終えており,データの収集段階に入っているため.またすでにに収集したデータの解析を進めており,学会発表を」行うことができているため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は被験者数を増やしながら分析を進め,認知能力と判定能力の関連性,また集中力と判定の関連性についてさらに模索していく.また一定の成果が得られた段階で,認知能力テスト,集中力テスト,映像テストの改訂や質的向上を図り,さらにテストの信頼性・妥当性を高め,研究精度を上げていくことを計画している.VRの画質についても,機器の能力向上や,アプリケーションのアップデートが行われているため,技術面においてもさらなる向上が可能と考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は国内外での学会発表,さらなる実験実施のための人件費,論文執筆,また各テストの質的向上のため
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次年度使用額の使用計画 |
7月のヨーロッパスポーツ科学会での発表,6月の東京学芸大学他での実験データの収集,論文の収集・執筆・製本等,映像テストの質的向上のための機器の追加購入など
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