研究課題/領域番号 |
16K13004
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
工藤 裕子 中央大学, 法学部, 教授 (90278383)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | スポーツ政策 / オリンピック / メガ・スポーツ・イベント / 学校スポーツ政策 / 地域スポーツ政策 / レガシー / ウェル・ビーイング / 健康・福祉 |
研究実績の概要 |
2016年前半は主に文献研究を実施した。ロンドン五輪の開催に際し、第一に、学校スポーツ政策および地域スポーツ政策がいかに実施されたか、それがいかに評価されているか、第二に、事前からいかにレガシーが検討・構築されたのか、期間中および事後の展開、また現在まで続けられているその評価について、ロンドン五輪関係のドキュメントおよび研究論文から調査した。また、現地でのヒアリング調査の準備のため、海外研究協力者の協力を得つつ、ヒアリング先の機関および人物の特定、ヒアリング項目の決定などを行った。 11月にエジンバラ、マンチェスター、およびロンドンにおいて、研究者4名、ロンドン五輪関係機関(NGO、チャリティ)4機関、スポーツ団体3団体、スポーツ重点校1校、地域スポーツ施設1カ所、プロスポーツ施設1カ所を訪問、ヒアリングを行った。日程の都合から現地でヒアリングを実施できなかった政府関係機関等についてはその後、メール等により質問を実施した。この成果の一部は2017年4月に実施した国際シンポジウムにおいて披露した。2月にはロンドンにおいて政府関係機関に対して追加ヒアリングを実施することが出来たうえ、貴重なデータを得るなど大きな成果を得た。 現地ヒアリング実施後、その成果の一部は、主に英語の論文にまとめ、うち3本については国際的な学会の査読を通過し、2017年度中に口頭発表を実施する予定である。現在査読中の論文が1本、また今後応募予定の論文が1本ある。学会口頭発表論文については学会後、学術誌に投稿予定である。また、日本語では報告書および一般向けの解説文を執筆したうえ、二回の講演によって成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画のうち、ロンドン五輪に関する学校スポーツ政策、地域スポーツ政策、レガシー、およびそれらの評価については、当初の予想以上の情報を得ることが出来た結果、2016年度内に、2017年度を含め、それ以降の研究方針および研究方法を特定することが可能になった。また、当初は秋を想定していた国際シンポジウムを、主に招聘者の都合から2017年度初頭に開催した結果、その成果を既に使用出来る状況になっており、これらについては当初計画を大幅に上回る進展となっている。 一方、日本国内の状況についての調査およびヒアリングについては、主に対象機関との日程調整が困難であっために当初予定よりも遅れており、2016年度に実施する予定であった現地視察およびヒアリングは2017年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ロンドン五輪に関する調査研究の成果を使いつつ、主に文献調査によって東京五輪を検討するとともに、日本におけるこれまでのメガ・スポーツ・イベントの学校・地域スポーツに関するレガシーを調査する。これまでの調査研究の成果を受け、対象とするイベントおよびそのレガシーは大幅に変更となる予定であるが、ロンドン五輪に関する調査の諸内容を前倒しし、2016年度内にほぼ終了させた成果であり、積極的な変更と理解している。 マンチェスターでスポーツ重点校を視察する機会を得たのを受け、国内においても学校もしくは地域スポーツにおいて顕著な成果をあげている場所を特定して視察したうえ、イギリスの事例と比較する予定である。 来年度以降、基盤研究に発展的に展開させるため、論文発表を進めると同時に、海外の研究者とのネットワークを強化し、国際的な研究チームを形成していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
二回目のヒアリングについて、日程上の理由から他の業務による海外出張時にあわせて実施した結果、当初予定よりも旅費が少なくて済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの研究を踏まえ、二年目に予定していた国内実態調査の行き先および調査方法を変更するため、その費用に充てる予定である。
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