本研究では、ストレスにより生じる社会回避行動と過剰になるエネルギー消費の関係に着目し、その分子メカニズムと生理的意義を解明することを目的とした。 本実験では、心理社会的ストレスを模倣した「社会敗北性」ICR系統のリタイアマウスを用いた。その結果、ストレス開始3日後から社会回避行動を生じるとともに、既知の分泌タンパク”F”の血中レベルが著しく上昇した。組織網羅的解析の結果、肝臓におけるmRNA発現が高かったため、分泌責任臓器は肝臓だと考えられる。また、ストレス後の血中”F”濃度は、アドレナリンβ受容体阻害薬の投与により低下したため、血中アドレナリンあるいは交感神経による関与が示唆される。
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