研究課題/領域番号 |
16K13031
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
梶谷 康介 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (10597272)
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研究分担者 |
金子 晃介 九州大学, サイバーセキュリティセンター, 准教授 (30735121)
金 大雄 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (90346859)
福盛 英明 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (40304844)
松下 智子 九州大学, キャンパスライフ・健康支援センター, 准教授 (40618071)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スマートフォン / メンタルヘルス / 大学生 / アプリ / ログ解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学生のメンタルヘルスケアに有用なスマートフォンアプリをユーザービリティの観点から開発し、このアプリケーションによって大学生のメンタルヘルスを向上させることにある。H30年度の研究成果としては、1.プロトタイプアプリ(試作品)を用いた予備研究に基づきアプリケーションのコンテンツやデザインのブラッシュアップを行い、完成版アプリを作成した、2.完成版アプリを用いて実証研究を行なった、の2点があげられる。完成版アプリに関しては、1.対象疾患を14疾病まで増やした、2.診断後の近医紹介システムとしてgoogle mapとの連携を行った、3.セルフケアプログラムとのリンクを行った、4.マイカルテ機能の実装、5.カレンダーにその日の気分を示すピクトグラムを表示させる、などの改良を行った。完成版アプリを用いた実証研究については、アプリ使用者は31名だったが、研究最終日のアンケートに参加できたのは24名だった。このアプリ使用者24名について、以下の解析を行った。1.アプリ使用前後で健康への意識変化を検討、2.CES-D、GHQ、Linkスティグマスケールなどの心理テストの変化、3.ログ解析による被験者のアプリ使用行動分析を行った。1.アプリ使用前後での健康への意識変化については、「メンタルヘルスに対する必要性への理解」に関して、アプリ使用群で統計学的に有意な改善を認めた(Wilcoxon, p=0.011)。また2.アプリ使用前後の心理テストの変化については、GHQでのみ有意な低下を認めた(Mann-Whitney, p = 0.044)。3.ログ解析に関しては、プッシュ通知を設定した時間に使用する頻度が高いことがわかった。今後、十分な検証をすべく被験者数を増やす必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究で作成したアプリケーションは、大きく分けて診断機能と記録機能の二つの機能を有する。診断機能はアプリ作成企業へ依頼し、記録機能は共同研究機関(九州大学芸術工学)に依頼した。この二つの機能の統合作業に時間を要し、また作業途中でiOSのバージョンアップがあったため、アプリケーションの作成作業が予定より大幅に遅れた。また実証研究のためのリクルートも進まず、予定参加者数に達しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
H31年4月現在、被験者数がアプリ使用者が24名(最終アンケートまで参加できた人数)、非使用者(対照群)13名である。被験者をそれぞれ30名以上まで増やし、開発したアプリの効果を心理検査を用いて検証する。またアプリケーションのユーザビリティ(使用感)に関する調査結果については、論文を執筆中である。今回の成果について、学会(全国大学保健管理協議会、全国メンタルヘルス研究会など)で報告予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定した学会に出席できなかったため、その予算を次年度にまわすこととなった。またアプリケーションにいくつかバグが見つかったため、この修正費用に残額を当てる。加えて、ユーザーからの要望として「タブレット端末でも使用できないか」という意見があったため、現行のアプリがタブレット端末でも使用可能か検証するために、iPad等の端末を購入する予定である。
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