研究課題/領域番号 |
16K13035
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
熊原 秀晃 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (40389367)
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研究分担者 |
綾部 誠也 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (80407238)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 身体活動 / 座位活動 / エネルギー消費量 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、オフィスワーカーの職場身体活動(Worksite Physical Activity:WPA)のうち占有時間が最も長いと考えられる「座位活動」と希少な動的活動の重要な構成要素である「歩行活動」の各々の視座より、活動の質を変えることがエネルギー代謝やメンタルストレスおよび睡眠に及ぼす影響を明らかにし、メンタルストレス性疾患および生活習慣病の予防ひいては健康寿命の延伸を意図したWPA変容法の開発へ繋げる科学的根拠を得ることを目的としている。 平成28年度は、本研究課題の達成に必要な2つの課題のうち、椅子の種類をかえることがエネルギー消費量および筋活動量に及ぼす影響を検証した(課題Ⅰ)。一般的なオフィスチェアの背もたれ使用時を基準とし、オフィスチェア背もたれ未使用時、バランスボールを椅子として使用した時、オフィスチェアに座位姿勢改善機能付きクッションを使用した時に関して検討し、次のような知見を得た。バランスボール椅子において、酸素摂取量と心拍数が有意に増加し、下肢・体幹部の計6筋群の積分筋電図合計値も有意に大きかった。バランスボール椅子の酸素摂取量の増加は、大腿直筋の筋活動の増大と関連していた。バランスボール椅子のエネルギー消費量の増加は、一般的なオフィスチェア使用時と比べて約13%と小さいが、長時間の座位活動に亘りエネルギー消費量が増加すると勘案すると無視できない値であると考えられた。以上のように、バランスボールを椅子として代用し、座位活動の質を変容させることのみで、エネルギー消費および筋活動の亢進を促し、肥満に関連する生活習慣病の予防に寄与する可能性が考えられた。現在、本実験中の心拍R-R間隔変動分析による自律神経活動を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に計画していた課題Ⅰの座位活動に関する実験を計画通りに遂行できた。自律神経活動・メンタルストレス分析についても順調に遂行中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、本研究課題の最終年度として、上述した座位活動データの解析を完了させると共に、当初の計画通り課題Ⅱの歩行活動研究を主に遂行する。なお、実験開始の事前には研究倫理審査委員会にて実験プロトコルの審査を受け承認を得た上で、被験者募集にあたっては書面ならびに口頭にて研究内容を説明すると共に、書面にてインフォームドコンセントを取ることを前提とする。 課題Ⅱが完了次第、全ての研究結果を勘案した上で研究総括を行う。また、研究成果を学会発表し他の研究者等からの客観的意見を得た上で論文執筆を行い、研究成果の公表を促進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会発表が実施できなかったことによる旅費、およびデータ解析が年度を跨ぐため人件費(実験協力謝金)として予定していた助成金の一部に繰越が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に学会発表、およびデータ解析を遂行する上で必要となるので、旅費ならびに人件費として計画的に研究費を使用する。
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