研究課題
本年度は、昨年度作成した変数リストを使用し、コホート研究を実施した。労働者を23年間追跡した長期コホートにおいて、既往歴・現病歴、血液検査結果、血圧測定結果等から、非感染性疾患(高血圧・脂質異常症)の罹患年を特定し、体力との関連を調査した。全身持久力と高血圧の関係においては、対象者6890人をベースライン時点の全身持久力で四分位に分類し、高血圧の罹患率を比較した。Cox比例ハザードモデルを用いて、目的変数に高血圧罹患の有無、説明変数に全身持久力を投入するとともに、調整変数として年齢、BMI、飲酒習慣、喫煙習慣を投入し、多変量調整ハザード比および95%信頼区間を求めた。2,210人が追跡期間中に高血圧に罹患した。全身持久力が最も低い群に対する他の群の高血圧罹患のハザード比(95%信頼区間)は、0.85(0.76-0.95)、0.78(0.70-0.88)、0.63(0.55-0.73)であった(P for trend < 0.01)。全身持久力と脂質異常症の関係においても、対象者7,341をベースライン時点の全身持久力で四分位に分類し、脂質異常症の罹患率を比較した。Cox比例ハザードモデルを用いて、目的変数に脂質異常症罹患の有無、説明変数に全身持久力を投入し、多変量調整ハザード比および95%信頼区間を求めた。4,616人が追跡期間中に脂質異常症に罹患した。全身持久力が最も低い群に対する他の群の脂質異常症罹患のハザード比(95%信頼区間)は、0.86(0.79-0.93)、0.84(0.77-0.91)、0.70(0.64-0.76)であった(P for trend < 0.01)。本年度は、主に体力の中でも全身持久力に焦点をあて、非感染性疾患の予測モデル構築のための解析を実施したが、今後は他の体力や関連因子との組合せによる疾病罹患との関連を明らかにする予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた計画を遂行できている。研究を遂行する上での問題も起きていない。次年度の研究までは進んでいないため、計画以上に進展している状況とは言えない。
本研究課題の今後の推進方策としては、予定していた残りの研究を進め、データ分析・予測モデルの構築を行うことである。これまでは予定通りに進んでおり、研究計画の変更の必要はない。
(理由)物品および英文校正について、今年度ではなく次年度の発注がふさわしいと判断したため。(使用計画)物品および英文校正について、次年度に発注・納品する。
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Scientific Reports
巻: 8 ページ: 569
Medicine & Science in Sports & Exercise
巻: 49 ページ: 2048~2055
J Epidemiol
巻: 印刷中 ページ: 印刷中