研究課題
H30年度は、運動介入によって血中ホルモン濃度が変化するのかを検証した。H28-29年度の調査により、インスリン成長因子(IGF-1)やデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は加齢により減少し、骨格筋量、骨格筋の質、筋力と有意な関連性を認めていた。そこで本研究では、低負荷運動とタンパク質摂取の介入を実施し、IGF-1やDHEA、さらに筋力および骨格筋の質の改善に及ぼす影響について検討した。本研究の対象は、前立腺がんによるアンドロゲン抑制療法実施中の患者とした。介入候補者の中から適格基準を満たした88名を介入対象とした。対象者は、運動+栄養群、運動単独群、コントロール群の3群に無作為に分類し、それぞれ3ヶ月間の介入を実施した。運動介入としては毎日の自宅での自主トレーニングを指導した。栄養介入としては、タンパク質10gが含まれたサプリメントを毎日摂取するように指導した。アウトカム指標としては、IGF-1、DHEA、膝伸展筋力、大腿前面筋の筋厚およびエコー輝度、体組成による筋量、快適歩行速度、最大歩行速度、5回立ち座りテスト、握力とした。対象者は全例男性で、年齢は79.9±6.2歳であった。3群間で基本属性に差はなかった。両介入ともに3ヶ月間の介入期間で特筆すべき有害事象は認められなかった。各種アウトカムの変化量において、3群間で差を認めたのは、エコー輝度および下肢筋量であり、いずれも運動+栄養群で最も良好な改善を示し、運動単独群とコントロール群の間には有意な差は認められなかった。なお、IGF-1およびDHEAの変化については3群間で差は認められなかった。低負荷な運動でもタンパク摂取を併用することで骨格筋機能が改善することが示唆されたが、運動によるホルモン濃度の改善効果を確認することはできなかった。
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