研究課題/領域番号 |
16K13042
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 寿郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (80323020)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒストン脱メチル化酵素 / 栄養 / AMPキナーゼ / 飢餓時のエピゲノム変化 |
研究実績の概要 |
グルコースの取り込みを傷害するため、細胞培地からグルコースを取り除いた状態や、2-deoxy-gluoose (2DG)を細胞培地に添加しグルコースの取り込みを阻害した状態に置いた細胞を用意した。これに対しヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aが特異的にリン酸化されるかの検討を行った。 この結果、AMPキナーゼでリン酸化された部位を検出するAMPKリン酸化抗体での検出が安定して得られず、系の再見直しを行った。 ① 細胞種と飢餓刺激の検討。まず、細胞の種類を検討したところHeLa細胞ではAMPKの活性がうまく取れないという既報もあり、前駆脂肪細胞を使う系に変更した。ポジティブコントロールとなるアシル-CoAカルボキシラーゼなどのリン酸化はグルコース除去培地などでリン酸化が確認され、グルコース除去の刺激は入っていることが認められた。 ② リン酸化検出系の検討。フォスタグゲルを用いてリン酸化される系で確実にリン酸化されるかの再検討を行った。大腸菌から精製したタンパク質ではin vitroキナーゼアッセイでバンドのシフトが検出されたが、内在性のJMJD1Aのリン酸化検出をフォスタグゲルで検出することはできなかった。さらに、ソディウムバナデートやβグリセロフォスフェートなどの脱リン酸科酵素阻害剤の検討も行った。結論として細胞におけるJMJD1Aはすでに各種キナーゼによりすでに複数個所がリン酸化されていることが質量分析から見いだされることから、そもそも細胞内のJMJD1Aは追加のリン酸化が見いだせない可能性も示唆された。 ③ グルコース除去についての検討。培地とともに通常添加するFBSにそもそもグルコースが入っているため、これをBSAに置換したが、シグマと和光純薬の製品で脂肪酸などの含有純度がことなり、和光純薬製品では脂肪酸の影響が否定できないこと見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究担当者が変わった段階で実験の再現が取れなくなった。この原因として、再現がとれるウィンドウ幅が狭く、相当の最適化をしなくてはならないことが挙げられた。また質量分析の系についても再度検討が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
① In vitro キナーゼアッセイとフォスタグゲルでの解析。上記の可能性を検討するため、全長JMJD1Aのリコンビナントタンパク質をSf9細胞から精製し、λPP脱リン酸化酵素で処理したタンパク質に対し、in vitro キナーゼアッセイを行い、フォスタグゲルでリン酸化されることを解析する。 ② リン酸化部位を質量分析から同定する。上記①で得られるリコンビナントタンパク質をリファレンスとして、細胞でのグルコース飢餓時のJMJD1Aのリン酸化部位の同定を試みる。この際λPPを除くため、ゲルろ過分離、バナジウム酸塩イオンによる阻害、50mM EDTA存在下で65℃で1時間過熱することでも失活させるなど考慮する。 ③ in vitro mutagenesisにより、すでに導入した各種アラニンスキャニング変異体を細胞でにトランスフェクションし、AMPKリン酸化抗体で細胞での検証を行う。 ④ また、リン酸化のポジティブコントロールとしてアドレナリン刺激でリン酸化するプロテインキナーゼA(PKA)のリン酸化部位を用いる。 ⑤ 動物の絶食下と摂餌下における肝臓、脂肪組織のJMJD1Aを免疫沈降し、質量分析で解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れており、次年度の実験に使用するため
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次年度使用額の使用計画 |
①In vitro キナーゼアッセイとフォスタグゲルでの解析 ②リン酸化部位を質量分析から同定 ③アラニンスキャニング変異体細胞を用いた解析
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