研究課題
AMPKは細胞内のATPの減少を増加に転じさせるように代謝のスイッチを切り換えるセンサーとして機能し、酵素、転写因子をリン酸化し制御する。JMJD1Aヒストン脱メチル化酵素がAMPKの基質としてリン酸化しうる知見を得たため、まずこれを検証することを行った。① in vitroの系では、AMPKリコンビナントタンパク質はJMJD1Aの30近いセリンスレオニンをリン酸化した。これは質量分析による解析であるがフォスタグを用いた検出系でもバンドのシフトが見られ、リン酸化が検証された。② 一方、細胞の系では、検出系が困難となってしまっており再現が困難な状況に陥っている。そこで、ドミナントポジティブなAMPKをトランスフェクションすることによって検出するタンパク量を増やしてリン酸化を検出する試みを行っている。③ リン酸化をみるのが困難なため、遺伝子発現でAMPKとの関連を検証する実験系を作った。細胞培地からグルコースを除去した培地で時間経過を追い、標的となり得る遺伝子を解析した。FGFなどが時間依存的に上昇することが再現よく見られた。JMJD1Aがノックダウンされた細胞ではこの上昇がみられず、JMJD1Aの下流にある標的遺伝子であることが予測される。ベージュ化脂肪細胞の分化でもFGFはJMJD1A依存性に誘導され、また、肝臓でのFGFの発現もJMJD1A依存性が見られており、絶食に伴うFGFの上昇がJMJD1Aを介したものである知見を得つつある。培地からグルコースのみならず、ピルビン酸やグルタミンのようなTCA回路に入り得る養分を欠乏させるなどの検討も行っている。
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