研究実績の概要 |
平成28年度は、強力な光信号を発する蛍光イメージングプローブを動脈プラークに存在するマクロファージに確実に送達するための運搬体を作製することを目的とした。本研究では、蛍光イメージングプローブをマクロファージに確実に送達するための運搬体として、イムノリポソームを設計・作製した。設計上の戦略としては、①運搬体のベースは生体適合性に優れたリポソーム(Chono S. et al., J. Control. Rel., 2009)とする、②リポソームが肝臓や脾臓など細網内皮系組織で非特異的に貪食されることを防ぐため、ポリエチレングリコール(Chono S. et al., Drug Dev. Ind. Pharm., 2011)をリポソーム表面に導入する、③プラーク発症部位のマクロファージに発現しているLOX1受容体を特異的に認識する抗体をポリエチレングリコール先端に結合させる、の3点を意図した。この戦略に基づいて、蛍光イメージングプローブを内包させ、さらにポリエチレングリコールを表面に導入したリポソームに抗体を結合させてイムノリポソームを作製したところ、抗体修飾率は抗体の濃度依存的に増大し、抗体修飾率が55%のイムノリポソームを創製することができた。このイムノリポソームをin vitroでマクロファージに取り込ませたところ、蛍光プローブ単独に比べて有意に高い取り込みが観察された。したがって、当初の計画通り、次世代イメージングとドラッグデリバリーシステム(DDS)の融合を図ることができた。
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