研究課題/領域番号 |
16K13055
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
永島 計 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40275194)
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研究分担者 |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30220081)
内田 有希 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (50634002)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 女性ホルモン / 暑熱順化 / 体温調節 / ラット / マウス / 行動性体温調節 / 温度受容 / 更年期 |
研究実績の概要 |
本研究の大目的は、エストラジオール消退に伴う耐暑能への影響と、その機序を解明することである。具体的には、①閉経後女性の耐暑能を明らかにするためのマウスモデルを作成し、②血中エストラジオール濃度の低下が、熱中症発生にかかわる複数の因子(自律性反応、行動性反応、温度感覚、暑熱にかかわる認知機能および行動)に、時間依存性に影響することを明らかにすることにある. 今年度は前年度に作成途中であったマウスの行動性反応を評価するシステムを完成させ評価実験を行うこと。エストラジオール消退の期間を2週間後、6週間後の2つを、コントロール群(エストラジオールが正常)と比較した。実験装置は、温度コントロールの可能なペルチエ素子を床に敷き詰めたチェンバー内に(研究室ですでに保有)マウスをおき、室内環境温度は一定に保ったまま、床の温度を23°Cから痛み刺激となる45°Cまで場所ごとにランダムに5段階で変化させる実験を2時間行った.この装置により、正常マウスの底面の温度嗜好は32℃付近にあることが実験的に証明された。さらに、エストラジオールの消退した期間が長いマウスでは、より寒冷環境からの逃避行動が促進されることが明らかになった。この機序を解明するために、マウスの足底皮膚におけるTRPM8(寒冷温度受容チャネル)の発現を調べた。この結果、チャンネルの発現はケラチノサイト、皮下神経に多くみられた。皮下神経については、エストラジオールの消退時間と反比例する結果が得られた。この結果より、エストラジオールは足底皮膚の温度感受性チャンネルの発現に影響を与えるが、この変化が寒冷逃避行動で推測される温度感受性の亢進を説明するものではないことが明らかになった。現在、代謝測定など総合的にこの反応を説明するパラメータを探索中である。
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