研究課題/領域番号 |
16K13058
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
山田 久美子 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (70737189)
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研究分担者 |
村林 知香 朝日大学, 歯学部, 助教 (50610367) [辞退]
飯沼 光生 朝日大学, 歯学部, 教授 (70184364)
大津 ゆみ子 修文大学, 健康栄養学部, 助手 (20442204)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肥満 / ストレス / 咀嚼運動 |
研究実績の概要 |
妊娠マウスに拘束ストレスを負荷した群、拘束ストレス条件下で同時に咀嚼運動させた群およびストレス負荷も咀嚼運動もさせなかった群に分け、各群の母マウスから生まれた雄性仔マウスをそれぞれストレス群、咀嚼群および対照群とした。離乳後、各群の仔マウスに高脂肪食を与え、4か月齢まで飼育した。平成29年度は4か月齢に達した各群の雄マウスについて、肥満発症に関連すると考えられる物質であるレプチン、アディポネクチンなどについて血中濃度を測定し、各群間で比較し、胎児期に受けたストレスおよび咀嚼運動との関連性について検討した。また、離乳後の体重と摂食量の経時変化と脂肪量についても引き続き測定し、群間で比較した。 脂肪量についてはストレス群では対照群と比較して有意に脂肪量が多くなり、咀嚼群ではストレス群と比較して脂肪量は少なくなり、ストレス群で肥満傾向が認められた。また、脂肪量は摂食量との関連が認められ、脂肪量の多かったストレス群で摂食量も多くなった。レプチンは脂肪細胞から分泌され、摂食を調節するホルモンとして知られているが、ストレス群におけるレプチンの血中濃度は、咀嚼群および対照群の濃度と比較して有意に高くなった。また、脂肪量との相関も認められた。さらに、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの血中濃度については、肥満傾向が認められたストレス群では対照群と比較して有意に減少し、咀嚼群ではストレス群と比較して高くなる傾向が認められた。これらの結果から、胎児期に暴露されたストレスは、離乳後に高脂肪食を摂取することで、仔の肥満発症のリスクをためることが示唆された。また、咀嚼運動にはストレスの影響を緩和する効果が期待できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね研究計画の通りに実験が進み、順調に結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究計画に従って、これまでと同様に実験モデル動物を作製し、食欲調節に関与する神経ペプチドであり、レプチン受容体の豊富な発現が知られているNPYの発現量について検討する。また、レプチン受容体の発現量についても各群間で比較検討する。 最終年度であるので、これまでの結果も併せて検討し、ストレスと咀嚼運動が肥満にかかわる中枢における因子(NPYやレプチン受容体)と末梢における因子(レプチンなど)に及ぼす影響を明らかにし、咀嚼運動の肥満発症抑制に果たす有効性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究打ち合わせなどの実施回数が当初の計画より少なかったため、旅費の一部の費用が次年度に使用する予算として残った。 (使用計画)平成30年度は研究計画の最終年度になるので、成果発表の打ち合わせや学会参加のための旅費として使用する予定。
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