研究課題/領域番号 |
16K13060
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
藤原 範子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10368532)
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研究分担者 |
吉原 大作 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00567266)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ALS / 筋萎縮性側索硬化症 / Cu,Zn-スーパーオキシドディスムターゼ / モノクロ-ナル抗体 / 凝集 / SOD1 |
研究実績の概要 |
加齢に伴って発症することが多い筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、発症機構も治療法も不明の難病である。抗酸化酵素であるCu,Zn-スーパーオキシドディスムターゼ(SOD1)の変異が家族性ALSの原因タンパク質の一つであることがわかって20年以上もたつが、その発症機構については未だ不明である。ALS患者の病変部位にSOD1陽性の封入体が認められることから、SOD1自体の凝集がALS発症に関与すると予想される。本研究の目的は、ALS病変部位に存在するSOD1凝集体を特異的に認識するモノクロ-ナル抗体を開発し、抗体-SOD1複合体の構造解明とALS病変封入体の解析を行うことで、ALS病態の解明をめざすことである。さらに、SOD1の凝集を阻害できれば、抗体医薬への道にもつながる。 新規に開発したモノクローナル抗体の中にALSモデルマウスの脊髄切片の病変部位を特異的に染色するものが2種類見つかった。1つ目の抗体はマウスIgG1で、ウエスタンブロット解析でSOD1を全く認識せずエピトープが不明の構造認識抗体である。このIgGもパパイン処理したFabも溶液中でSOD1を認識することがわかった。さらに本抗体のVHとVL部分の遺伝子取得に成功し、アミノ酸配列を決定した。N末端配列を確認したところ、N末はピログルタミン酸でブロックされていることがわかった。2つ目の抗体はラットIgG2aで、ウエスタンブロット解析が可能であり、エピトープマッピングもほぼ終了している。 さらに、凝集化や線維化に伴う変性SOD1タンパク質の物性変化および抗体の反応性の変化についても検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ALS病変部位を特異的に染色するモノクローナル抗体の特性が明らかになりつつあり、今後の研究に期待ができる。また、ヒトALS患者の病理切片を入手できるめどがたったので、免疫組織染色を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1 新規モノクローナル抗体の詳細なエピトープ決定を行う。特に、ALS病変部位を特異的に認識しない抗体のエピトープマッピングも行い、特異抗体との違いを検討する。 2 ヒトALS患者病理切片の免疫組織染色を行う。 3 ラットIgG2aのハイブリドーマからVH、VL遺伝子をクローニングする。 4 凝集化や線維化に伴うSOD1タンパク質の物性変化および抗体の反応性について詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度時使用額の研究費が生じた理由は、当初の計画よりも少ない予算で研究が達成されたためである。 ハイブリドーマ培養用のシャーレやELISAプレート、培地や血清、免疫組織染色用の試薬類などの消耗品を購入する。研究をまとめた論文の投稿や印刷にも使用する予定である。
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