研究課題
挑戦的萌芽研究
日本語話者の子どもにおける読み能力の習熟とその神経基盤を解明を目的とした。ひらがな単語の読み流暢性と、漢字の読みの正確性を検査し、それらの得点と脳部位間結合の関係を検討した。ひらがなの読み成績が左下前頭回と左中前頭回の機能的連絡強度と関係しており、それは文字から構音への変換の熟達がひらがなの読みに関わることを示唆した。漢字の読みは、左下頭頂皮質と左右の前頭前野との連絡強度と相関しており、視覚、音韻処理に加えて意味処理の統合と制御が関わっていることが示唆された。
認知神経科学
ひらがなと漢字の習得・習熟に異なるメカニズムが必要であり、かつ、それぞれ複数の機能が関わった複雑な処理であることを示した。2つの文字体系を習得する日本語話者の子どもは、多くの脳機能を有機的に制御することが求められており、その習熟の困難さには適切な対応、教育が必要であると考えられる。