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2017 年度 実施状況報告書

集団の中でのいじめに関わる神経機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K13069
研究機関京都大学

研究代表者

三谷 章  京都大学, 医学研究科, 教授 (50200043)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード集団行動 / いじめ / 内側前頭前皮質 / ニューロン活動 / テレメトリー
研究実績の概要

集団の中で他者との相互作用をなす社会的行動、特に攻撃的行動と防御行動の脳活動を観察するために、マウスの集団行動中のニューロン活動を無線方式で記録するマルチユニットテレメーター装置を開発した。ニューロン活動は内側前頭前皮質から記録した。これは、集団内に発生するいじめの原因としては対人関係の不得手、思いやりの欠如、欲求不満耐性の低下などが挙げられており、ヒトでもマウスでも前頭葉内側面に位置している内側前頭前野は、怒りや不安などの情動発現に強く関与していることが知られている扁桃体を直接線維投射によって支配していること、脳腫瘍摘出手術などによってこの内側前頭前皮質の一部を失うと他者に対する思いやりの欠如やモラルの低下がおこること、また、頭部外傷によって損傷を受けると衝撃的攻撃性が出現することなどの報告にもとづいている。内側前頭前皮質にあらかじめ直径0.05 mmのステンレス製のマルチユニット記録電極を挿入しておいたマウスを含む10頭の雄マウスを1ケージに同時に入れ、その集団行動と内側前頭前皮質ニューロン活動の変化を観察した。その結果、他のマウスと集団を形成するときには内側前頭前皮質のニューロン活動の発火頻度の増加が観察され、これに対して集団が分離するときにはそのニューロン活動の発火頻度の減少が観察された。これらの結果は、内側前頭前皮質が集団の中で他者との社会的行動変化にともなってその活動が変化すること、そしてその行動発現に何らかの関与をしている可能性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要で記述したように、マウスの集団行動中の脳活動、特に他者に対する思いやりの欠如やモラルの低下、衝撃的攻撃性、欲求不満耐性の低下などに関わっている可能性が示唆されている内側前頭前皮質のニューロン活動を記録することができた。今後、集団の中でのいじめ行動中の内側前頭前皮質の活動変化を観察するという研究展開の妥当性が示された。

今後の研究の推進方策

小型ケージに多数の雄マウスを同時に入れ、群飼育すると、集団飼育下のマウスにおける社会的順位づけが起こる。その際に観察される競争優位性を示す個体が劣性を示す個体に対して行う攻撃的行動や競争的劣位性を示す個体が優性を示す個体から受ける攻撃に対する防御的行動中のマウス内側前頭前皮質のニューロン活動を記録することにより、集団の中でのいじめ行動に関連する内側前頭前皮質の役割について考察する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
H29年度の主たる研究経費として、マウスの集団行動中のニューロン活動を無線方式で記録するマルチユニットテレメーター装置の開発費用を予定していたが、当初予定していたよりも簡潔に完成できたので、経費の一部を使用する必要がなくなかった。
(計画)
本研究計画を完遂するためには、H30年度では集団が示す行動の解析が重要となる。動物の集団行動の半自動的解析を可能にするソフトプログラム開発のために経費を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] The area around the border between the prelimbic and infralimbic cortex is critical for anxiolytic effect of medial prefrontal cortex: A brain stimulation study.2017

    • 著者名/発表者名
      清水朋子、三谷章
    • 学会等名
      第40回日本神経科学大会

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公開日: 2018-12-17  

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