本研究は早期介入を目的として、人生早期の幼児期を対象としたメンタルヘルス予防対策のニーズの解明と、幼児期から開始するメンタルヘルス教育プログラム の開発、そのプロセスを通じた地域保健システムの構築を目指すものである。 幼児と保護者・教員からみたメンタルヘルスニーズを明らかにするために調査を全国の三地域で行った。内容は基礎属性の他、幼児のストレス経験や症候、対応の内容、メンタルヘルスが不調になりやすい状況、協働対応、適切な予防の内容などである。なお、地域比較のため、関東地方(東京都新宿区)、東海地方(静岡県静岡市)、中国地方(島根県松江市)を対象地域とした。調査は幼児が所属する幼稚園や子ども園、保育園に在籍する園児を持つ保護者と教員(保育士も含めてスタッフ)である。倫理審査の承認を得たのち、静岡、東京、島根377施設中、現段階の協力施設数は116か所(回収率31%)であり、そこに所属する教員297名、保護者201名から回答が得られた。回答項目中こころの健康を高めるための予防対策について必要なものの問いに対して「両親との関係」「周囲の大人との関わり」(教員)といった人的資源の重要性が語られていた他「生活習慣の確立」などの環境づくりが大切であるとの回答を得た。保護者からは「相談できる相手がいる」「一緒の時間を過ごす」など保護者自身の関わりの重要性や「親以外の人との交流」等、人的資源の重要性が同じく語られていた。また「体調管理」といった生活習慣についても共通していた。今後、さらに回収された内容の分析を進め、予防的プログラムを提示する予定である。
|