天然物Fusicoccin A の全合成と各種誘導体合成および生物活性評価による構造活性相関研究を目指し、三環式炭素骨格の合成に挑戦した。ベンゼンに4炭素ユニットの側鎖を導入し、4-6-4炭素骨格を5-8-5縮環構造に変換するという極めて斬新な合成計画であった。すなわち、置換ベンゼンから連続的な環拡大反応で行い 、6員環を8員環に変換する。市販化合物から7工程で得られた置換ベンゼンに、Rh(II)触媒を作用させてBuchner反応を試みた。その結果、立体選択的なシクロプロパン化条件を見出し、続く中間体のジビニルシクロプロパン転位により、7員環をほぼ単一の生成物で定量的に得た。
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