生理活性化合物の一次標的分子を同定することは、生命原理の理解においても創薬においても重要であり、タンパク質を対象にした方法論の進展が目覚ましい。しかし生体膜を標的にする場合、タンパク質にはない特殊な膜環境が化合物の標的同定を困難にしている。生体膜では数百から数千の非常に多くの分子種が相互作用しており、同じ脂質分子種であっても環境によって挙動が異なるため、外来分子による認識が大きく変わる。本研究では分裂酵母の脂質生合成変異株を用い、膜脂質を標的にする化合物に対する感受性試験、脂質成分の分析を行った。そこから化合物がどのような脂質を標的にするのか、人工膜や合成脂質誘導体を用いて検証した。
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