X線結晶構造解析の目覚しい進歩により、従来不可能と考えられてきたマイクロ微小結晶からの構造決定が次々と報告されている。これらの成果は、精製された大量の蛋白質と、良質な結晶を得るための長い時間が必要とされてきた結晶作成の常識を劇的に変えつつある。本研究では、迅速結晶構造解析に向けた革新的な結晶化手法の確立として、細胞内で鋳型となる細孔を蛋白質の結晶化により作成し、構造解析の目的となる蛋白質を同じ細胞内で同時に発現させ、鋳型蛋白質結晶の細孔へ規則正しく集積し、複合結晶の構造解析を目指した。その結果、タンパク質を挿入可能な内部空間を形成し、さらに目的タンパク質をその内部に挿入することにも成功した。
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