研究課題
統合失調症の思考障害には、脳内意味表象ネットワークの異常が示唆されてきた。今までの方法では、特定の概念や脳部位を検討するのが限界であり、全脳にわたり網羅的に意味表象ネットワークを客観視する方法はなかった。網羅的な動画を見ている際の脳活動をfMRIにて記録して、それを解読してヒトの脳内意味表象ネットワークを可視化する手法を統合失調症に応用し、全脳に渡る網羅的な概念の脳内意味表象ネットワーク異常として思考障害を可視化、定量することを目的とする。 統合失調症患者14名、対照健常者17名に対して1時間程度の動画刺激を提示し、動画視聴中の全脳活動を3TのfMRIによって連続記録した。動画視聴中の脳活動(fMRI記録)について、自然言語情報表現を媒体とした意味空間モデルを用いてモデル化を行った。これにより、統合失調症患者群および健常対照群の被験者それぞれについての脳内意味空間の定量を行った。健常群の脳内意味空間で対照的表現を持つ意味カテゴリのペアについて、患者群では対照性に減弱が見られ、患者の脳内意味空間における構造の崩れが示唆された。脳内意味空間に対して、グラフ理論を用いたネットワーク解析を適応した。その結果、統合失調症の脳内意味ネットワークにおいて、整然としたカテゴリ構造が構築されておらず、上位概念と下位概念の関係も不自然になっていることが示唆された。統合失調症の思考障害を脳内意味ネットワークの乱れから始めて定量化した結果であり、統合失調症の病態解明に寄与する意義深い結果と考える。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件)
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