研究実績の概要 |
腸は「第二の脳」ともよばれ、脳腸連関は精神機能を考える上でも興味ある臓器間ネットワークであるが、その詳細な機構は不明である。自律神経による高次脳機能への役割を明らかにするために、低侵襲性で腸管の自律神経を可逆的・生理的かつリアルタイムで制御できる無線光遺伝学的手法を開発する。無線光遺伝学を可能にする基盤技術として、発光ダイオード(LED, light emitting diode)を用いた。LEDの進歩は著しく、広く一般社会にも使用されるようになってきたことから、簡単かつ廉価で利用できるようになった。また電磁誘導により生じる誘導電流は、電磁(IH, Induction Heating)調理器などで一般利用されている。この二つを用いて比較的簡単にLEDを発光させることを確認した。実際に非接触状態で、電磁誘導により生じる誘導電流により閉回路状態のLEDに電流を流すことを確認した。 また、対象とするマウスの腸内神経叢の形態学的検討を行うとともに、腸内フローラの関与の検討を行うための基盤データを収集した。我々の研究室で確立された自閉症モデルマウス(15q dup)と野生型マウスの定常状態でのメタゲノム解析を行い、15q dupで特異的に変動する菌種を同定した。さらに、社会性コミュニケーションの手段として超音波締鳴数(ultrasonic vocalization, USV)を計測したところ、抗生物質(ネオマイシン)処理によりUSVが正常化するとともに、それらに特異的な細菌フローラを同定した。
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