研究課題/領域番号 |
16K13113
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
神作 憲司 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究室長 (60399318)
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研究分担者 |
高野 弘二 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究員 (00510588)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コミュニケーション / 意識内容 |
研究実績の概要 |
本研究では、意識内容の表出が困難な患者の意識状態とその背景にある脳内機構を明らかとすることを目的とする。本年度は、意識内容の表出が困難な患者の意識状態に対し、意識内容と覚醒度に着目して脳活動を計測・解析する手法の研究・開発を進めた。 意識内容に着目した研究としては、遷延性意識障害の患者を主対象として研究を進めた。まず、対象患者の意識内容の複雑性を評価するために、これまでに開発した言語理解の脳領域を可視化するfMRI課題(Cereb Cortex, 2000)を改変して適用した。その結果、有意な脳活動を観察することが難しかった患者も認められたものの、音声言語を理解していると考えられる患者を見出すことに成功し、その内容を発表した。 また、患者の意識内容を表出させることを目指し、これまでに開発したブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)技術を用いた研究も開始した。これまでのところ、定常視覚誘発電位(SSVEP)方式のBMI手法を利用し、少数個の判別を行わせる課題を用いてデータを蓄積している。対象は、意識内容の表出が困難である筋萎縮性側索硬化症(ALS)や遷延性意識障害の患者とした。 覚醒度に着目した研究としては、脳波を用いて対象者の覚醒度を推定する手法の開発を行った。健常者を対象として脳波変化に着目した独自の指標を検討したところ、その開発した指標が、主観的な眠気の心理評価が可能とされるKarolinska Sleepiness Scaleの変化量との間で強く相関することを見出し、その内容を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
意識内容に着目した研究では、意識障害を伴う患者を対象とした神経画像法を用いた実験データの蓄積が進んでおり、また覚醒度に着目した研究においても、健常者を対象としたデータの蓄積が進んでいることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を発展させ、fMRIによる脳機能計測や脳波によるBMI技術を利用し、意識内容の表出が困難な患者の意識状態を意識内容と覚醒度とに着目して解析する手法を研究・開発し、その結果を発表する。意識内容に関しては、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や遷延性意識障害の患者からのデータの収集・解析を進める。覚醒度に関しては、健常者からのデータに加えて、患者からのデータも収集し、その解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の学会参加に伴う旅費等の振り込み日が4月となったため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度4月に当該旅費等の振り込みが行われた
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