研究課題
本研究では、これまで困難であった、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の完全閉じ込め状態等により意識内容の表出が困難な患者の意識状態の評価とその背景にある脳内機構を明らかとすることを目的とする。意識内容に着目した研究としては、意識障害の患者を対象とし、音声刺激を用いた非侵襲脳機能計測実験を行うことにより、音に対する反応と言語に対する反応について、意識障害の患者の言語処理に関わる脳機能が複数のレベルにて評価出来ることを見出し発表した。また、ALS患者を対象とし、ブレイン-マシン・インターフェイス(BMI)を用いた言語指示に対応した意志表出に関する実験を行いその有効性について検討した。これにより、一部の患者では期待値に対して統計的に有意な精度での意思表出が可能であることを示唆する結果を得て発表した。覚醒度に着目した研究としては、脳波を用いて対象の覚醒度を推定する手法について研究を行った。健常者を対象とし、主観的な眠気の指標としてKarolinska Sleepiness scale(KSS)を用い、その指標と今回の研究で開発した手法によって導出される指標について検討を行った。その結果、KSSと開発した手法について、それらの指標の変化と主観的な眠気の変化に強い相関があることが示唆され発表した。今回開発した手法を用いることで覚醒度の変化を継続した脳波計測によって捉えられ、意識の表出が困難な患者においても覚醒度が高いタイミングでBMIを使用することなどが可能となる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Scientific Reports
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