研究課題/領域番号 |
16K13115
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
高橋 晋 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (20510960)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 場所細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は、ラットが新規な場所情報を獲得する過程で起こる海馬CA1野内の場所細胞の活動に着目し、その可塑的変化に関与する樹状突起逆伝播スパイクの役割について解明することを目指す挑戦的な試みである。それは、独自の電気生理学的記録法とデータ解析法に、光遺伝学を活用した神経刺激法を組み合わせることで、視覚野ニューロンの臨界期に関するヘンシュ貴雄博士(ハーバード大学)の仮説 (Hensch, Nature Reviews Neuroscience, 2005)を実証することでもある。同時に本研究は、多様な情報に対応し柔軟に活動するニューロンの実態を実験的に明らかにすることで、既存の情報科学的モデルに新たな神経科学的知見を提供することも目指す。 これまでに、マルチニューロン活動記録法、光刺激法、及びデータ解析法を統合し、実際にラットが未経験な場所を認知している際のマルチニューロン活動を記録し解析を進めた。具体的には、ラットが未経験の実験ボックス内で餌を求めて行動している際、マルチニューロン活動を記録し続け、パルス波、チャープパターン、ランダムノイズパターンの3種類の光刺激をChR2を発現させたパルバルブミン陽性細胞へ特異的に与えることで、樹状突起逆伝播スパイクの反応と神経細胞活動の関係性を解析した。本年度は、これまでに実施してきた一定の刺激パターンに加えて、リアルタイムフィードバック刺激を実施した。具体的には、局所脳波上のシータ波、ベータ波、ガンマ波のピーク、トラフなどの位相に合わせて、パルバルブミン陽性細胞や錐体細胞の活動を制御する実験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ラットが未経験の実験ボックス内で餌を求めて行動している際、マルチニューロン活動を記録し続けるとともに、局所脳波の位相に合わせて、パルバルブミン陽性細胞や錐体細胞へリアルタイムフィードバック刺激をする実験を実施することができた。このように本研究が計画通りに進展したため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ラットが未経験の環境を認知する際には、場所細胞が持つ場所情報が数分で可塑的に変化することが知られている(Wilson & McNaughton, Science, 1993)。その可塑的変化の過程と樹状突起逆伝播スパイクの伝播確率との関係について、場所情報量を中心として解析する。また同時に、樹状突起逆伝播スパイクを抑制し制御していることが示唆されている介在細胞のパルバルブミン陽性細胞や錐体細胞自体の活動を局所脳波の特定位相に合わせたフィードバック神経刺激により制御することで、可塑性と樹状突起逆伝播スパイクの因果関係を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の目的である「海馬場所細胞の可塑性と樹状突起活動の因果関係の解析」を達成するためには、光遺伝学とマルチニューロン活動記録法を組み合わせ、樹状突起活動を選択的に制御する必要がある。その追加実験を実施するため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、光遺伝学とマルチニューロン活動記録法を組み合わせ、樹状突起活動を選択的に制御する追加実験を実施するために使用する。また、その成果を学会で発表し、論文として報告する。
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