研究課題/領域番号 |
16K13116
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
平瀬 肇 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (90392084)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ニューロン・グリア / ニューロピル / GCaMP / イメージング / 脳 |
研究実績の概要 |
G-CaMP7(カルシウムセンサー)を神経細胞とアストロサイトに発現するG7NG817マウス(Monai et al. Nature Communications, 2016)の頭蓋骨に開窓手術を施し、大脳皮質一次視覚野の位置に慢性イメージング用のウィンドウを設置した。マウスは、二光子顕微鏡下で安静状態で固定できるように訓練された。その結果、皮質2・3層のニューロピルを含む神経回路網から無麻酔で視覚刺激提示時にカルシウムイメージングを行うことに成功した。 複数の動物より、ブレ補正の一次画像処理を行った。ニューロピル解析の計算機環境として、リナックス計算機サーバーにPnevmatikakisが提案した負値行列因子分解(Non-negative Matrix Factorization = NMF)を利用した解析プログラムのソースコードを導入した。取得した画像データを一括ではメモリ不足となり処理できないため、各動物の画像データから、一部領域を抽出した。また、NMF解析プログラムを改良し、ニューロピルデータから信号成分を抽出できるようにした。その結果、時定数が短い神経細胞様のシグナルと時定数が長いアストロサイト様の信号成分が抽出できることがわかった。そこで、複数の動物でデータ解析をバッチ処理できるように計算環境を整備したところ、一部の動物でS/N比が充分でないことが判明し、新たな画像データの取得が必要となった。また、現在では計算速度が遅いため、アルゴリズムの最適化(あるいは、別のアルゴリズムの適用)が望まれる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自動信号抽出には高いS/N比が必要なことが解り、新たな画像データを取得する必要が生じている。現在、イメージング実験を実行中である。また、最初に行った皮質2・3層よりも皮質1層のほうがより鮮明な画像が取得できるため、皮質1層よりデータを取得しつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、NMFアルゴリズムを利用してニューロピルからのデータ抽出を行う。新たなS/N比の高いデータを取得した後に、データ解析を行い、健常マウスと病態モデルマウスでのニューロピルからの信号を比較する。また、計算機環境を効率的でかつ商用ソフトウェアに依存しない環境に転換できるかも検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新たなデータの取得のために、追加実験が必要となり、データ解析用の予算執行が遅延した。
|
次年度使用額の使用計画 |
昨年度に繰り越した金額は、データ解析に必要な経費(例、バックアップ用メディア)に使い、当初の計画通りに予算を執行する。また、成果の一部を発表するために国際学会等に参加する。
|